第4回・民謡コンクールの旅・7月2日(土)笛・新人賞


きっと「5つしか音が入っていない」だろうテープ、恐くてまだ聞いていません。

「ブーーーーーーーーッ!」

しん、と静まりかえった場内に、ブザーが鳴り響きました。

正座をしたまま礼をし、立ち上がり、退場します。カーテンの後を控え室まで戻る途中で、佐々木さんとなおきっちゃんが声を掛けて下さいました。「どんまい、どんまい、明日、また、頑張りましょう!」

エアコンで冷え切って乾燥しないように、懐で温めていた笛を取り出し、袖で一礼してから、舞台の真ん中まで進み、正座しもういちど一礼、唄三味線と同じように調弦(笛?)、同時に、伴奏の三味線とも音を合わせます。

「合、四、工」少しおいて「工、四、、、、、、、」

えっ、合が出ない!落ち着いて、も・う・い・ち・ど。

何度、最初からやり直そうとしても、唇からいったん離してみても、湿らしてみても、角度を変えてみても、うんともすんとも、全く音がでません。身体中から汗が噴き出してくるのが、感じられました。

見かねて進行係の先生が声を掛けて下さいました。
「落ち着いて、深呼吸して、最初からやり直してみましょう。」

少し、ざわついていた会場に、静寂とともに緊張感が漂ってきました。

突然、後で三味線の音が、鳴り出しました。この日のために、伴奏を買って出て下さった、佐々木さんとなおきっちゃんが、課題曲の安里屋ゆんたの歌持ちを演奏してくれています。何とか、とっかかりをつかめという合図です。試験の本番中にですよ!全く、何という人たちなんだ。嬉しくて、涙が出てきそうになりました。

結局、舞台の上で出せた音は、最初の五つだけでした。

恥ずかしくて、情けなくて、悔しくて、申し訳なくて・・・、もし、ひとりで来ていたとしたら、もし会場が地続きの場所だったら、そのまま、荷物をまとめてタクシーに飛び乗っていたかも知れません。

でも、そうさせてはもらえませんでした。もみくちゃにされ、励まされ、笑い飛ばされ、酒を飲まされ、文字通り、寄ってたかって、マイナスの情報を「すべて」たたきだしてくれました。

久しぶりに、ベッドで泣きました。悔し泣きではありません。嬉し泣きです。

ほんとうに、「なんて人たちなんだ!最高だよっ!」

振り返って 結局、どう総括しても、コンクールをなめてかかっていたとしか思えない、情け無い結果となってしまいました。師匠にも大変失礼なことをしてしまいました。実際に、何度もお詫びしましたが、詫びて済む問題ではありません。この経験を、決して忘れることなく、肝に命じ、以後の礎にしたいと思います。
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