沖縄の桜と古書事情


名護城(ナングシク)のサクラ

八重岳のサクラ

沖縄の花見は見るだけ

伊平島立塔を臨む

何と岸本食堂の新店

すば600円(大)・450円(小)

裏手に薪を発見

ひんぷんがじゅまる

お宝VTR

暁書房

崎山節のふるさと

沖縄の踊り

集合は9時30分、南風で包んでもらったヒラヤーチーで朝食を済まし、首里駅へ向かう。前夜1時30分まで飲んでいたにもかかわらず、みんな何事もなかったような顔をして、集まってくる。先輩達の胃の丈夫さはさすがである。程なく先生も、これまた、何事もなかったように颯爽とマイカーで登場された。

この日は、先生の提案で、沖縄の桜を見に行こうということになっていた。よく考えてみれば、先生が運転することも想像できたのだが、一番下っ端のくせに、先生の隣に座ることになるとは・・・。お天気がいいだけに、居眠りしないようにしなければ。

いまさら、僕が、わざわざ書くまでもないのだが、沖縄の桜は「ヒカンザクラ」という種類で、内地の「ソメイヨシノ」と比べると、花びらが少なくピンクの色が濃い。そして、最大の特徴は、北から開花するということである。一行は、一同北へと進路をとることになる。

高速道路を走っている間に、先生が色々な音楽をかけてくださるのも、楽しみのひとつだ。今回は、島根県弥栄村の創作神楽から始まった。先生は、全国各地で公演をされているので、お知り合いも多い。このCD、かなり構成が練られているのか、少しも退屈することなく、通して聴くことが出来た。地方の底力を感じる。
1時間ほどで、もう名護についてしまう。程なく、名護城(なんぐしく)に到着。いわゆる山城だったようで、上の方まで続いている階段の頂上が見えない。半分ぐらい登ったところで、休憩したのだが、かなり汗ばんでくる。前日に続く陽気だ。

先生によれば沖縄の人は「内地のスタイルの花見」はしないのだそうだ。そう言えば、お酒や食べ物の匂いもしないしカラオケも聞こえてこない。そのかわり「観月会」が各地で盛んに催されるのだそうだ。こういう何気ない話しが、とてもうれしい。

さらっと登って、「じゃぁ、もう一カ所、行こうね。」えっ、花見のハシゴ?、内地ではしませんよね。さらに進路を北へと取って、八重岳に、しかも今度は、歩かずに車の中から、眺めながら登る。何とも、贅沢な話しである。そうして見ていると、沖縄の桜は「北から開花する」だけではなく「山の頂上から開花する」という事もわかった。登るほどに、花の数が増えていくのである。

満開の桜の間から伊江島立塔を臨むことが出来た。「皆さん、食事はどうされますか?」先生が、昼ご飯まで心配してくださる、申し訳ない。しかし口は条件反射で「岸本食堂」と声を発してしまった。相変わらず、状況をわきまえないヤツである。駐車場もない小さな店に、昼頃乗り付けて、スムーズに食べられるはずがないではないか。「まぁ、その辺の駐車場があるすば屋でいいですか?」と先生が助け船、立場反対。
ところが、突然、目の前に駐車場付きの「岸本食堂」があらわれた。これには、本当に驚いた。場所が場所だけに、今までに2回しか行ったことがないのだが、僕的には、沖縄すば屋ベスト5の筆頭にあげたい店である。(番外編・沖縄そば大好き!参照)・八重岳店:0980-47-6608

この手の店は、規模が大きくなると味もおおざっぱになっていくものだが、この店は違っていた。どうやら渡久地店(旧店)と同じ作り方をしているらしく、注文してから、出てくるまでの時間も同じように長い。待っている間に、薪の束を運ぶスタッフを目撃、かなり忠実に味を守っているようだ。
どういう訳か価格は50円安くなっていたが、味は、変わっていなかった。あっさりした中にカツオが利いていて、手作りの不揃いな麺が、スープに絡んで美味しい。麺の量が多いのも変わらない。女性なら、小で十分だと思う。

お腹が一杯になったところで、岡山のあきらさんのリクエスト、ひんぷんがじゅまるに向かう。僕は、全然知らなかったのだが、先輩方は、さすがに色んな事を良く御存知である。

「ひんぷんがじゅまる」=国指定天然記念物で、推定樹齢280〜300年、樹高19m、幹周囲10m、樹冠の広がり最大直径30mの巨樹。「ひんぷん」=屋敷の正門と母屋の間に設けられた屏風状の堀のこと。乾隆15(1750)年、具志頭親方蔡温が、三府龍脈碑を建て、これがひんぷんのように見えることから「ヒンプンシー」と名付けられ、隣に生育するガジュマルもいつしか「ひんぷんがじゅまる」と呼ばれるようになった。

先生は、もっと、色んな所を見せたいという御様子だったが、夕方から、琉球民謡音楽協会の総会があるため、首里に戻る。BGMは宮良長包のトリビュートアルバムだ。ゆかりの人たちが、参加されているのだが、先生も2曲唄っておられる。「何だね〜、自分の唄を、こうやって聴いてると何だか照れくさいね〜。早く終わらないかな。」とおっしゃるので、車内に笑いが広がる。

起点の首里駅まで送っていただいたのだが、同時にビッグなお土産もいただいた。大工ネット門下生のみならず、八重山〜沖縄ファン必見のVTRが、バッグに一杯。とても、ひとりでは持って帰れないので、参加メンバーで分担して持ち帰り、後日交換することになった。また、ひとつおおきな楽しみが増えた。

デイパックは重たくなったのだが、最後のひとがんばりで、栄町を目指す。東京の先輩に教えていただいた、古書店を覗いていたかったからだ。広島の鉄っちーさんも付き合ってくださった。というか、ナビゲイトして下さった。有り難うございました。

そこで、まさかこの本に出会うとは、思っても見なかった、沖縄文庫「崎山節のふるさと」。インターネットで、かなりひつこく探したのだが、入手できずにいた本である。やはり、沖縄の古書は、足で探さなければならないらしい。ひょっとして、有名なお店なのかも知れないが、まだ知らない方のために、

「暁書房」・那覇市大道173・TEL098-886-8566/FAX098-885-1414・年中無休

こうして、わずか1泊2日の旅は、あわただしく終わった。しかし、多くのものを得ることが出来た。それを、同伝え共有していくかが、今後の課題である。多くの、人々に支えられて。

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