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かつおばさんの店 真剣なまなざし 天かす、生姜も本格的 参加型のイヴェントです 返しは関西人の独壇場 まん丸とおいしそう 働き者のおばあ 紅露(クール) |
朝から梅雨のような雨。観光はあきらめて、竹富島に渡る。まだ酔っているので船が揺れるとこたえる。野原荘の新館は木の香りがして気持ちがいい。雨を眺めていてもしょうがないので、竹の子で酔い覚ましのそばを食べる。ぴやーし(※5)の蓋を開けた途端に、独特の香りが鼻孔に飛び込んできて驚いた。大阪で買えるものだったらこんな香りはしない。こーれーぐーす(※6)とセットで何とか酔いを身体から抜く。 ちょっと楽になってきたので、きょうこさんに会いに行くことにする。竹富島に来たらたこ焼き食べにおいでと、誘われていたのだ。店を出たらさらに雨足がひどくなってきたので、かつおばさんの店で傘を買う。値段を訊ねたら、480円だけど450円でいいよ、と言うので、悪いと思ってぽーぽー(※7)を買ったら、おまけにさんぴん茶をくれた。原価割れじゃないかと心配だったのだが、笑顔で送りだしてくれた。まっとうな八重山のおばさんである。これで完全に復調した。 高那旅館に着くとちょうどきょうこさんが顔を出してくれた。たこ焼き軍団「ゆいまある」は台所ですでにスタンバイしていた。きょうこさんの「友達の夫レシピ」は、本格的なものでまず鰹節でかなり多めにダシを取る。 関西人だからかもしれないが、たこ焼きというのは焼きはじめるとこれが面白い。特にひっくり返す作業はくせになる。だんだん膨らんできて球形に近づいていくのが快感なのである。 20個ほどのたこ焼きを3回焼くのに2時間ほどかかって、その間にゆんたくするから、初対面なのにすっかりくつろいでしまった。旅行中の雨の日はたこ焼きに限る。レシピの効果か味のほうもなかなかいけた。ちなみになぜたこ焼きかというと判然とはしないが、有力な候補としてはそこにたこ焼き用の鉄板があったから、ということであった。 帰りに民芸館に寄る。ここは去年出来た織物の工房で八重山の様々な織物を見ることが出来る。おかあさんが絣を織っていたのだが、調子が上がらない。「雨が続いているからね。」湿度と気温の影響を受けるんだそうだ。そう言いながら手を休めることなく機に向かっている。「このままだと年が越せないからね。」働き者の八重山の女性の伝統をかいま見た気がした。 館内展示コーナーに、紅露(クール)を見つけた。染料に使う植物で、茶色系の色に染まる。「ぼすぽう節」という民謡に、「芭蕉なぬ紅露染み」と唄われていて、どんなものかいちど見てみたかったのだ。 野原荘の夕食の後は、ゆんたくタイムである。おとうさんに「三味線を持って来なさい。」と言われ腰を上げる。宿泊客はリピーターが多かったので八重山民謡を交えながら宴会に突入する。こんなんでいいのだろうか。 (※5)ぴやーし:ヒハツモドキという植物の実を乾燥させ粉末にしたもの。島胡椒とも呼ばれる。「ぴぱーつ」「ぴやーち」「ぴーやし」など島によって呼び名が異なる。八重山地方の特産。肉や魚料理にも相性がよい。 (※6)こーれーぐーす:島唐がらしを泡盛に漬け込んだもの。ぴやーしとともに、沖縄そばの名脇役。こちらは、沖縄全県で使用されている。焼きそばやちゃんぷるーにかける人を見たことがある。 (※7)ぽーぽー:お好み焼きの薄い素焼きのようなお菓子、というかお茶菓子。かつおばさんの手作り。 |
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