沖縄(石垣島編7・安里屋)02.12.29.


大阪では入手しにくいです

ジャケット写真がどぅんたの踊り

夏を過ごしやすそうな建物

琉球郵便の漢字と3セント、文字の組合せが不思議

齋藤さん初登場!

調子に乗って唄いすぎっ!

2002年12月29日(日)
7カ月ぶりの八重山に向かう。ANAが直行便を運行し始めたためか、JTAの通常便の出発時間が早くなっている。前日の深酒がたたって、千鳥足のままヨタヨタと家を出る。三線クラブの仲間が、何を思ったのか急にアフガニスタンに行くと言いだしたため、送別会をやっていたのだが、途中から忘年会の様相を呈してきて、止まらなくなってしまったのだ。

彼は、わかりやすく言うと、アフガニスタン人に似ている。しかも、ハザラ人に。どういうことかとこれもわかりやすく言うと、ハザラ人は最近良く狙撃されている。そういう地域にVTRを持ちこみ記録してくるという話だったので、私たちは心配していたのだ。無事に帰ってきてくれればいいのだが。

ともあれ、フライトが10時25分になったため、8時には家を出なければならなくなったのだ。いつものごとく強烈な逆噴射で前の座席に顔をぶつけそうになりながら到着した石垣空港は雨だった。今回は、荷物を預けなくて済んだため、そのまま空港バス乗り場へ直行する。

何度か利用しているとわかることだが、荷物に関する航空会社の言い分は毎回と言っていいほどコロコロと変わる。一番厳しかったのはテロの後で、「機内持ち込みはひとりひとつ」と貼り紙がしてあった。まあ、3つぐらい持ち込んでいたおば様もいらっしゃったが。その次には、「特別許可」という札を三味線にくくりつけられた。

今回はフリーパスである。おまけに、「満席で狭いため早めに機内に持込み、御自身で荷室を確保してください。」とまで言われた。去年は、「満席で狭いため」までは一緒だったが、その後は「お預けください。」だったんだけど。預けた荷物を受け取る手間が掛からなくなったので、そのまま受け流しておいたのだが。

その代わりに、「パソコンとカメラは別に検査を受けてください。」という貼り紙が張ってあった。理由を訊ねると、「パソコンはシールドされていて内部が見えないから、カメラはフィルムがダメになる恐れがあるから。」ということであった。したがってデジタルカメラはOKである。

早く着きすぎたため宿のチェックインまで時間がある。ブラブラしていると新しい店が結構目につく。自分が持っているからそう思うのかもしれないが、三味線を置く店も増えている。しかし、アヤパニモール2階の土産物コーナーにあったのにはびっくりした。しかも、持ち主曰く、塗り無しの「八重山黒木」である。

試しに値段を聞いてみたら、100万円だそうだ。売る気はないらしい。少し弾かせてもらったが、最高という感じではなかった。木材関係の仕事なので、何かの折に取っておいたもので作らせたということであった。

外に出て、本屋に向かう。八重山でなければ買えない本を探すためである。3軒をはしごして、「とぅばらーま歌詞集(※1)」と竹富町編纂の「八重山古謡集(※2)」の2、3、4を購入した。そこまで行けば1が欲しくなるのが人情だが、「町にももうない」ということだった。後で2を読んでいたら、1は1983年発行とあったので、入手は難しいかもしれない。

次にレコード屋である。こちらも八重山以外では入手困難なものを探すためである。宮良康正の「どぅんた(※3)」を購入。八重山最西端、つまり日本最西端に位置する与覇国島に伝わる作業唄を、「どぅんた」という。それがどうしたという感じなのだが、八重山の民謡を学ぶものにとっては、前述の書跡類もCDも数少ない貴重な資料なのである。

荷物が重くなってきたので宿の近くまで引き返したのだが、気が向いて、以前から気になっていた「南嶋民俗資料館(※4)」に入ってみた。個人が運営する、築200年の民家の中に収蔵物が展示されている。そこで、アメリカ統治時代の切手を見つけた。

古い家は、文字通り石垣に囲まれていて、ひっそりと涼しかった。亡き御当主の未亡人が色々話を聞かせてくれて、長居をしてしまった。居心地がよかったので名残惜しかったが、閉館時間を少しまわってお暇した。

外に出て、ぼちぼち夕食の時間と食堂を探してみたがなかなか決まらない。こんなことは滅多にないのだが、どの店の前でも立ち止まってしまうのである。しょうがないので人の手を借りることにした。宿の楽天屋さんに教えてもらい「むぎわらぼうし」という店に行ってみたが、残念ながら閉まっていた。そろそろ石垣の街も正月の準備に入っているらしい。

このまま行くとズルズル尾を引きそうだったので、引き返しぎわに、「山海亭」という店で定食を食べることにした。こういう場合、「あたり」はまず期待できない。案の定、ボリュームは文句無かったが、ただ食べるだけになってしまった。ゴーヤーチャンプルーがおいしくないと、盛り上がれない。

宿に帰って仕切り直し、「安里屋」に向かう。ドアのノブを回そうとした時に、見知らぬ女性に声を掛けられ、思わず手が止まった。名前を呼ばれたので、ギクッとしたのだ。石垣の美人に知り合いは少ない。声の主は、店で落ち合うことになっていた斎藤さんの友人で、石垣在住のクミさんだった。

初対面とは思えない雰囲気は、すっかり八重山の人である。おかげで話に花が咲きすぎて、いつになく長々と唄ってしまった。夕食の盛り下がりをすっかり解消して、宿に戻ったら2時半だった。初日からこれでは先が思いやられる。

(※1)とぅばらーま歌詞集:とぅばらーまは八重山地方の有名な民謡の曲名。もともと即興で掛け合いをする曲で、さまざまな歌詞があり、本になっている。八重山地方の言葉の勉強にも役立つ。
(※2)八重山古謡集:八重山地方でもともと唄われていた作業唄等の歌詞が対訳付きで収められている。
(※3)どぅんた:与那国島に伝わる作業唄とそれを唄うときの踊り。与那国島では、集まりの最後にどぅんたをする。
(※4)南嶋民俗資料館:国の重要文化財である宮良殿内の分家にあたる伝統的な建物。宮良殿内は、中に入れないがこちらは見学可能。

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