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浦内川、今日も快晴だ。 初めて見ました、カンムリワシ あけみさん 伝統的な技法で、 伝統的なデザインを織る インド藍 苧麻 マナの店の手作りパン 「さをり」の体験も出来る 西表温泉はプール付き ロコ ツムブリの塩焼きに ツムブリの天ぷら、 サラダがアカマチで良かった イカスミ御飯のコロッケ! ヤシャガニ ヅガニ |
5月3日、快晴。今日はレンタカーで島内観光の予定である。しかし、前日確認の電話があったにもかかわらず、10分過ぎても迎えにこない。こういう場合は、早めに電話を入れておくほうがいい。 今回は、ORIXレンタカーを利用する。天然記念物の名を付けたレンタカー業者が恐ろしく対応が悪く、しかも高かったからである。しかし、1カ月前に予約を入れていたにもかかわらず、頼んでいた車は無かった。 これは、ワンランク上の車を使ってくださいということで問題なかったのだが、さらに、「オンシーズンなので、特別価格になります。」ときた。こういう場合は、冷静に主張しなければならない。「予約時に、48時間で11000円だと、言われました。」と、受け付けた人の名前を告げる。 若干の沈黙のあと、彼女はあきらめた。交渉成立である。しかしクレジットカードが使えなかったのは誤算だった。手持ち資金を圧迫する。後で、郵便局に行ってみたが、やはり連休中は引き出しが出来なかった。 長期旅行時は、この辺が難しい。大金を持って、移動するのは不安だし、いざと言うときは、現金が頼りである。この分だとお土産が買えない。帰りの船のチケットを持っていたのがせめてもの幸いだった。悔やんでいても仕方がない。気を取り直して、出掛けることにする。 今日帰る予定のあけみさんが同行者となる。西表には1周できる道路がない。今日宿泊予定の、白浜(南西部)から大原(東南部)までが、通行可能部分である。「いるもて荘」では、ほとんど宿の外に出ることがなかったので、白浜から大原まで走ってみることにする。まずは、近いほうの白浜に足を向けることにする。風が心地よい。 上原の集落で、貝殻細工を手作りしている店が開いていた。まだ、10時前である。この時間に開けている店は結構少ない。覗いてみると、広くはない店内に、ぎっしりとアクセサリーが並んでいる。前日ダイヴィングで一緒だった人が付けていたマンタのシルエットをくり抜いたペンダントも幾つか置いてあった。 しかし、私たちが気になったのは、草木染めのミンサー織りだった。「今はないんですよ。」とオーナーが、新しく出来た織物工房の場所を教えてくれた。ちょうど、白浜の方向だったので、立ち寄ることにする。 教えられたとおり、その建物には、表札も看板もなかった。これでは、知らない人には分からない。声を掛けると、「見ていってください。」と返事があったので、中に入る。風通しのよい室内に数台の織り機がゆったりと置かれている。 すでに織り上がった、木綿や麻の作品が、流木の台にディスプレイされているがその数はまだ少ない。その横で、縦糸を掛ける作業が始まっていた。この工程は、なかなか目にする機会がないので、しばらく見学する。 この施設は、裏に畑をもっていて、苧麻(チョマ・麻)や、芭蕉を育てていた。たずねると、「最終的には、自給自足を目標にしています。」と、忙しく手を動かしながら、答えてくれた。伝統的な技術の継承を目指しているのだ。 結局かなり長い時間を費やしてしまった。この分では先が思いやられる。更に南に下り、白浜で行き止まる。丁度行き止まりのところにその日の宿「ガゼボ」があった。ここから先には道がない。 折り返し、再び船浦を通り越し今度は東に向かう。西表の土を使った焼きものの工房を経て、更に東へ。さすがは、沖縄で2番目に大きい島である。1時間ほど走ってようやく人家が見えてくる。 「まなの店」は、手作りパンとさ織りの店である。入ってすぐのところに、その日のパンが並べられていて、奥が洋服、その左手が工房となっていて、すでに何人かが熱心に機を織っている。 すでに1時を過ぎていたので、並べられていたパンを食べる。「紫芋のクリームパン」は甘かったけど、紫芋の餡が口のなかで溶けて香りが広がりおいしかった。焼きたての天然酵母やイーストのパンが毎日店頭に並ぶ。 その横の小さい棚に自然食品が所狭しと並んでいる。うれしくなって、「大阪の自然食品店で・・・、」と言いかけると、「そうムソーから送ってもらってるの。なかなか売れないし暑いから乾物だけだけど。」、「・・・・・。」。 「まなの店」では、「さをり」を体験できる。あけみさんは、織物体験希望者であるとともに、温泉愛好家でもあった。悩んだ末に彼女は、「日本最南端の温泉」を選択した。西表温泉は複合レジャー施設である。施設内にプールと屋外温泉があって自由に行き来できて、レストランも併設されている。結構1日ゆっくり遊べそうな雰囲気で、一緒だった客の半分以上は、多分地元の人である。 受付の玉代勢さんに「親戚に女性の闘牛師はいてませんか。」と冗談を言っていたら、聞き覚えのある大阪弁に呼び止められた。声の主は、波照間で同宿だった関西出身の、関東在住2人組だった。狭いといっても違う島でまた会うことは珍しい。よっぽどこの2人とは縁があるらしい。 西表温泉は日帰り施設だが、現在隣接の敷地に宿泊棟を建設中で、完成したら結構人気スポットになるだろう。ついでに「日本最南端の結婚式場」も作ったらもっと繁盛するかもしれない。温泉を出て船浦港にむかう。 丁度あけみさんを見送っているときに連れから電話がはいる。着いたばかりの船に乗っていないので、日程を変えたのかと思っていたら、別の港に着いたという。急いで、車をまわすと、今度は、ゆきさんが立っていた。意外な人によく会う日である。ゆきさんは、正月の波照間で同宿だった人で、笛の名手でもある。 思い立って西表にやって来たが、宿が取れてないらしい。1人旅の達人でもある。何軒か断られたというので、取りあえず、「ガゼボ」まで一緒に行くことにする。どうしても見つからなければ、相部屋にしてもらおうという魂胆である。 ところが着いてみると、宿に隣接するレストランに貼り紙がしてあった。「店主高熱のため本日休業。」。これでは、こちらの宿泊も危ない。恐る恐る声を掛けると、何とかゆきさんも泊めてもらえそうな雰囲気である。ただしレストランは、やっぱり休業ということで、外に食べに出ることにする。 あてがなかったので、「いるもて荘」で同宿だった、なかしまさんお勧めの店「ロコ」にする。「ロコ」は釣り船を出している店で、魚がおいしいということだったので、魚料理を中心に注文する。焼き魚は「ツムブリ」、さらに天ぷらも「ツムブリ」、選択を誤った。これで、刺し身サラダも「ツムブリ」だったら、最悪である。 幸い出てきたのは「アカマチ」で、あっさりとしておいしかった。イカスミご飯のコロッケもバランスが取れていた。ただし、注文してから出てくるまでかなり待たされた。最後に注文した「海鮮サラダ」も美味しかったが、食べ終わった頃にはもう真っ暗。砂浜で夕陽を見よう、という計画はお流れとなり、外に出てみると星が輝いていた。 夜の道路は、結構神経を使う。人や、対向車はあまりないのだが、別のものが時々道路を歩いている。この夜も「ヤシャガニ」、「ヅガニ」そして「イリオモテイエネコ」に出会った。「ガゼボ」の前は、海である。満点の星が、水面に映ってキラキラと輝いている。絶好のロケイションである。早速、泡盛を片手に、浜に出る。 ゆきさんの笛が、海の向こうの山まで届いてはね返ってくる。八重山の笛は即興演奏で楽譜がない。奏者によって演奏が変わる。ゆきさんの笛は、優しく透き通る音色である。気持ちがいいので、調子に乗って、時間を忘れてしまった。また、今日もいい夜だ。 |
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