沖縄(波照間島編5・出会い)02.04.29


フクギの花

白くてかわいらしい

フクギと石垣に守られた旧家

晴天ならコート盛から夕陽が見える

4月29日、今日もまた取り残されてしまう。

島の風にあたりたくなって、三味線を持って出かける。木陰を見つけて、少し練習しておきたかった。三味線は、外で弾くほうがよく鳴るような気がする。フクギに覆われた旧家の横を通ると花が咲いていた。途中「森林の家」に寄ってみたら、玄関が開いていたので声を掛ける。

「かよさんがここに来るって言ってたんだけど。」。かよさんは、大阪の知人である。この時期、「沖縄」「三味線」というキーワードで知り合った人とは、同じ島に滞在することが多い。正月に知り合った斎藤さんは明日やって来る。「今日来るって言ってたけどまだ来てないよ。」住人の森さんが、笑顔で答えてくれる。そこに、かよさんから電話が入った。熱を出して、フライトをキャンセルしたらしい。

「大丈夫」と言ってから、帰ろうとしたら、「まあ、上がっていったら。」ということになり、おじゃまする。この森さん、京都出身で波照間に住んで1年半のハンサムな青年である。

倉庫だった建物は、うまく改造されていてとても居心地のいい空間を作り上げている。三味線の先生がいたから、島にやって来たということもあって、初対面にもかかわらず話が弾む。彼は、ミュージシャンでもあった。ついつい話し込んで、気がついたら1時をまわっていた。

宿に帰ってまた昼寝である。暑いので昼食を抜く。滞在3日目ともなると、私のなかに、ゆっくりと島時間が流れはじめる。結局三味線のおさらいをしたり、ウトウトしたりしている間に、夕食になってしまった。この時期の波照間は、もう7時過ぎまで明るい。夕涼みをかねて散歩に出掛ける。西の空が次第に、赤く色づいていく。

夕陽は雲に隠れてみえなかったが、その雲を照らす夕焼けが美しい。気がつくと1番星が光っている。こんな風に時のうつろいを見るのは何年ぶりのことだろう。空はだんだん暗くなって、星の光が道を照らしてくれるようになる。やがて満点の星が、落ちて来やしないかと心配するぐらいに輝きだす。かたわらで虫たちも、合奏に忙しい。

宿に帰って、再びおさらいである。星空をイメージしながら、いつもよりゆっくりと唄う。風が心地よい。今日もいい夜だ。

旅日記に戻る