沖縄(那覇〜慶良間編その3・誠小ライヴ)01.11.25


手書きのカードが添えられていた

知名定男

登川誠仁

2部ではナークニーを競演

中村ナツキと

鳩間かな子まで登場

最後はやっぱりカチャーシー

客もノリノリで踊る

知っている人は知っているのだが、今日は私の誕生日である。この年になって特に宣伝するつもりはないが、誕生日となるとJASの「誕生日割引チケット」が使えるのである。JASの沖縄便は、他の飛行機会社より早めの時間にしかないのだが、誕生日を証明する書類さえ持参すれば、「誕生日以降2週間以内」のチケットが10000円で購入できる。今回はJALの得割との組み合わせで、往復30000円でチケットが入手できた。格安ツアー並みである。

乗り込んでしばらく経つと、スチュワーデスが「誕生日とお聞きしたのですが?」と手書きのカードが添えられた、JAS人形をくれた。ねじを回すとギコギコと前に進むやつである。こちらはどうでもいいのだが、手書きのカードにはちょっとジンときた。そう言えば、誕生日に手書きのカードをもらえなくなって何年になるだろう。単純なものである、が気分はいいに決まっている。

ひいき目も手伝ってか、JASのアテンダントは親切だと感じた。笑顔と話しかける感じがいい。JALと合併するそうだが、いいところは残して欲しい。少し小振りの搭乗機が伊丹空港に着いて、にわかに急ぎ足になる。

いつもなら、ゆっくりと食事をして帰って寝るだけなのだが、今夜は行かなければいけないところがあるのだ。JASの時刻表が幸いしてか、今日の夜のライヴの時間に間に合ったのだ。邪魔なピギーをコインロッカーに放り込んで、急ぎ足でバナナホールを目指す。

着いてみると、人だかりが出来ている。さすがは、「誠小」である。開場までまだ時間があるのに、結構な人数が並んでいるのだ。その最後尾につけると直ぐにビデオカメラが顔の前に差し出された。「お持ちになっているのは三線ですか?」相手の若い女性は聞き慣れない沖縄のテレビ局の名を告げた。「今、慶良間から伊丹に着いてそのまま来たんです。」と言うと、一瞬びっくりしたような表情をして、質問を続けた。こちらは、並んでいるだけだから暇である。愛想良く付き合って、しゃべっているうちに、開場時間となる。

時間前から並んでいるくらいだから、今日のライヴは超満員である。何せ、「誠小(登川誠仁)」が大阪に来るのである。さらに、知名定男との競演となれば、もし見逃したら、もう二度と見れないかも知れない。そう思った人が多かったのかどうかは知らないが、前売り発売日当日に、ローソンのチケットは売り切れていて、わざわざバナナホールまで買いに行ったのだ。

満員の会場を、人をかき分けながら進む。途中何人か知った顔に出会った。挨拶をしながら、何か気持ちが高ぶってくるのを感じる。元々、沖縄から帰ってきたところなので、すこぶる調子がいい。ライヴはまだ始まっていないのに、どんどん盛り上がってしまう。

ビールを手に、席に戻ったところで司会の挨拶が始まった。今日のライヴは、出演者がビッグネームのため筋書きがないという説明である。どんなライヴになるのかますます楽しみだ。そもそも、どちらかと言うとライヴ嫌いである。人が集まるところが、苦手なのだ。今日のライヴも何年振りかになる。

司会が引っ込んで、知名定男の登場だ。「前座をやるのは20年振りだ。」と笑わせる。かつて大阪に住んでいたということもあって、つかみがうまい。実は、ビッグネームの演奏を聴くのは初めてなのだ。舞台に集中する。さすがに、聴かせてくれる。

「前座」が終わっていよいよ、誠小の登場である。誠小は「早弾きの達人」とか「沖縄のジミヘン」と言われるくらい、三味線の手が速い。もっとも、御本人は、最近自己紹介の際に「映画俳優」と名乗るのがお気に入りであるとか。映画「ナビィの恋」では、あまりの速さに、スクリーン上で、三味線を弾く手の動きが、確認できなかったほどである。

その動きを、目の前で見ることが出来るのだ。愛用の「六線(弦が6本張ってある三味線)」を構えて、演奏が始まる。やはり速い、相当に速い。目の前で見ていても、動きが追えないくらいに速いのだ。さすがはジミヘンである。

後半では、修行中の中村ナツキと競演、また売り出し中の鳩間かな子と珍しくトゥバラマを披露する(普通八重山の人しか演らない)など、ライヴならではのプログラムで大いに楽しませていただいた。いつまでもお元気で、さらなる活躍を期待したい。

最後は、知名定男と競演でお得意のカチャーシーで締めくくる。ホールでなければ、延々と演っているのではないかと思うくらいの熱演に歳は感じられない。客もエネルギーをもらってノリノリである。いつまでも続けばいいのにと思ってしまう。

沖縄から帰ってきたのに、大阪に沖縄があった。少し得した気分である。

(文中敬称略)

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