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まーさん道 八重山そば ピィヤーシ 民宿石垣島 元旦の夕食 珊瑚の島の家庭料理 民宿白帆 中央が建設中の空港 鮮やかな珊瑚 魚と共生している 川平湾 |
沖縄本島からさらに約300km南にある八重山諸島は、緯度がハワイとだいたい同じというから常夏の島である。1月1日の予想最低気温は17度であった。真ん中に通路をはさんで、左右に3席づつ座席を配した小振りな機体にゆられ降り立った滑走路には強く暖かな島風が吹いていた。石垣空港は滑走路が短いため、着陸後すぐに、かなりの距離をバックする。到着ロビーまでバスで移動するのも久しぶりである。バックパックひとつで出てきたので、荷物を待つことなくバスターミナルへ向かう。石垣市の中心地までは空港バスで200円で行ける。南国の日差しがまぶしい。元旦なので宿へ直行しようかとも思ったが、あまりにも好天なのでぶらぶらしてみることにした。事前に聞いていたとおり、公設市場を含む公の施設は全て休業している。しかしアーケードの中には、いくつか開けている店があった。そのうちの1軒、書店で「八重山手帳」を見つけた。去年沖縄本島や大阪の「わしたショップ」で探したのだが見つからなかったのだ。この手帳には、八重山諸島の行事や出来事が1日刻みの日記欄の上部に記載されている。ちなみに、同じ仕様の「沖縄手帳」もあってこちらは、沖縄本島や「わしたショップ」、大きめの書店で入手することが出来る。 ひとまわりして、大通りに出たら営業しているそば屋があった。八重山そば初体験である。麺は太めでこしが強く、だしはやや濃いめで甘みが強い。「ヒハツモドキ」という植物からつくられた「ピィヤーシ」という八重山にしかない胡椒に似た香辛料をかけていただくと味のバランスがちょうど良くなる。トッピングの肉は三枚肉ではなく赤肉でしかも細切りになっている。ショウガはなくネギが乗っているのが八重山流である。 「まーさん道」八重山そば550円石垣市美崎町3 ひと心地ついて宿へ向かう。宿は女将さんの料理が評判の「民宿石垣島」、離島桟橋から歩いて10分ほどの立地で小浜島や竹富島などへ足を伸ばす時も便利な宿である。午後6時女将さんの料理の説明とともに夕食が始まる。石垣島が栽培北限のタロイモが入った八重山風のお煮しめ、つまにパパイヤを使った近海マグロの刺身、豚の内臓を使った中身の吸い物、黒豆や田作りをあしらった前菜などにデザートがつく。さらに正月ということで日本酒が振舞われた。 石垣愛子著「珊瑚の島の家庭料理」 食事の後は若干忙しい。約10組の客が2つの浴室を交代で使う。制限時間が11時までなのでゆっくりとはしていられないが、併設されている洗濯機を無料で使用できるのでバックパッカーには便利である。門限は11時だが、玄関の自動ドアが手動になるだけで出入りは自由である。しかし朝食が7時なので、早めに休むことにする。翌日若干遅れて始まった朝食には、自家製の山葡萄のリキュールが付いてきた。かなり甘いが鮮やかな色と香りを楽しめる。さすがと感じたのは、3日の朝食の時である。献立が全く違うのだ。夕食はともかく朝食は毎日同じようなものを出すところも多い中、手を抜かないところは立派である。 「民宿石垣島」石垣市大川291 TEL09808-2-6066 2日も快晴で空の青がまぶしい。今日は、レンタカーで島を周ってみることにした。最初の目的地は白保である。新空港建設のため珊瑚礁が破壊されることを危惧した内外の人々が建設反対運動を行っているあの白保である。もう20年ほど前に絵葉書で知った美しい場所を実際に見ることが出来る。好天も味方してくれている。20分ほど走って白保の浜に着いた。ダイバー姿がちらほらと見える。ここが白保なんだ、と感激しながら、しばらく浜の風に吹かれる。そのうちにここまで来たのだから何とか珊瑚を見ることは出来ないものかと思い始めた。もちろん浜からでは無理である。シュノーケリングの用意もしていない。見れば船着場にグラスボートがあるではないか。船首には、「民宿マエザト」と書いてある。さっき通って来た道ぞいにあった。徒歩で、「民宿マエザト」を訪ねてみる。入り口のシャッターが下りている。隣の売店でたずねると、今は休業中とのこと。半ばあきらめて浜に戻る途中に、「民宿白保」があった。椎名誠がロケの際基地にした宿である。入り口が開いていたので、声をかけてみたが誰もいない。裏で声がしていたのでまわってみたら、おかあさんが出てきてくれた。昨日東京から帰ってきたところなので、船が陸に上がっているが、11時半なら出してもいいとのこと、やった〜、珊瑚だ〜。 ペンキの匂いがする船に乗り込むと船は緩やかに進み始めた。よく見ると船を操るおとうさんの手に青いペンキがついている。正月前に化粧直しをしていたんだ。なんだかほほえましい。建設中の新空港を左に見ながらリーフに向かってゆっくりと進む。ところどころ船を止めて、珊瑚の説明をしてくれる。岩のような大きいもの、触ると手が黄色くなるもの、きれいな水色のもの、緑色のもの、そしてその中をすいすいと泳ぎ回る魚たち。白保では、固有の希生種がいくつも確認されている。あっという間に船は浜に戻り、名残を惜しみながら白保を後にする。 午後からは、白保とは反対の西側を走ってみる。こちらも景観がすばらしい川平湾がある。しかし、団体客が次々とやってきて、台に上って記念写真を撮り、グラスボートに詰め込まれて湾に出て行く。その様子を眺めていると目がまわりそうになったので、先を急ぐことにした。この島はどこを走っていても浜風が心地よい。島の南半分をくるりとまわって、バンナ岳に登る。ここからは、小浜島、竹富島、西表島などが一望に出来る。何とかと煙は高いところを好むと思っていたら、続々と見物客がやってきた、失礼。街に下りたら、目をつけていたガソリンスタンドが閉まっていた。ガソリンは満タン返しの約束である。少し焦って、メインストリートを流す、が2周まわってあきらめた。これ以上探しても無駄である、それに食事の時間が迫っている。レンタカー屋で事情を説明すると、「今日は5時でおしまいですね。」。朝言っておいて欲しかった。駆け足で宿に戻るとちょうど食事の時間になっていた。 |
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