オドリコソウ シャガ(左)とムラサキケマン アケビ イワカガミ シロモジ 新緑と落葉の林床 コバノミツバツツジ ニシキゴロモ シハイスミレ マタタビの新芽 |
2001年4月21日 小雨 音羽川が山に入る辺りまで車に乗り、そこから上下のカッパと長靴に身を包んで出発です。渓流沿いの林はすっかり春の光景となり、若葉を開いていない木はほとんど見当らないほどで、道端にもたくさんの花を見ることができました。春から初夏にかけては白っぽい花が目立つような気がします。 オドリコソウ(この辺りはクリーム色です)シャガ、クサイチゴ、ナガバノモミジイチゴなどの花は大きくてよく目立ちますが、ツボスミレ、セントウソウ、ヤブニンジン、ミヤマハコベ、サワハコベ、タネツケバナなどは小さいので気をつけないと見落としてしまいそうです。ホウチャクソウは葉の裏に隠れているので横から覗かないと気がつきません。 そのほか紫色のムラサキケマン、ジロボウエンゴサク、青い色のタチツボスミレ、黄色い花ではヤブヘビイチゴ、ミヤマキケマンなどが見られ、視線を上げるとアケビやミツバアケビの花がたくさん垂れ下がっているのも見つかりました。アケビの雌花にある子房は、既に実の形をしていてちっちゃな赤ちゃんのようです。 1時間ほどゆっくり歩いて車道の終点桜の馬場へたどり着きました。ここからごみ処分場区域内の林へ入っていきます。急な坂道を登り、ワラビを少し(直径20Cmほどの束)戴いてさらに登ると、林の中にミツバツツジ(多分コバノミツバツツジと思います)が数本かたまって咲いていました。ちょうど満開で、その辺りだけピンクの塊のようです。足元にはこの山ではあまり見かけないイワカガミが数株、ピンクのふさふさした花を咲かせていました。深い山に多いので亜高山植物に入れられることもあります。 さらに登ると、10mあまりの高さにになった大きなコシアブラの樹が生えていました。この木の新芽は天ぷらにすると最高にうまく、巷ではタラノメが珍重されていますが、味香りともより野生的(しかし上品)で、はるかにこちらの方が上だと思います。この辺りの山にはこの木がたくさんありますが、枝が少なくて登れない木が多いのですが、ここにある木は下の方から枝が幾つも延びていて上の方まで登ることが出来、新芽をたくさん採ることができました。 その後はたいした登りもなく時折ツツドリの軽やかな声(ポッポー ポッポーと聞こえる)を聞きながら、やがて視界が広がるとそこはダム湖です。冬の間に歩いて、タラノキがたくさん生えているのを覚えていたのでやってきたのですが、既に誰かが頂戴していました。ダムの堰堤を渡ると再び登りとなります。足元の裸地には小さなスミレのフモトスミレ(帰って図鑑で調べました)が可憐に咲いていました。 山腹を巻くけもの道をたどり、林道跡を谷まで下って、今度は違う谷の中を溯ることにします。道のない谷へ入る時はいつもワクワクするものです。こんな谷の中では、珍しい花やたくさんの山菜に出会ったり、心にかなう景観に出会うことが時々あるからです。今日も少しばかり期待をしながら入ってゆくことにします。 細い流れをしばらく溯り、最後20mあまりの斜滝を超えると水はすぐに枯れ、下草の少ない緩やかな斜面が広がっている所へ出てきました。足元にはニシキゴロモ(これも帰ってから図鑑で調べました)が地面に張り付くように咲いています。フタリシズカも群生していて間もなく花が咲き出しそうです。チゴユリも先端にかわいい花を1個づつ咲かせています。さらに登ると、裸地にシハイスミレ(葉の裏が紫色だから)が群生し、鮮やかな紫の花をたくさん付けていました。 まもなく稜線に出、そこからは送電線の巡視路をたどって桜の馬場目指して降りてゆくことにします。途中採り易そうなコシアブラの木を探し、少しずつ新芽を採りながら、やがて桜の馬場へ戻ってきました。この頃には雨もすっかり止み、あとは車道を車のところまで歩くだけです。途中の道沿いで、ヤマウコギとマタタビの新芽を見つけ少しづつ戴きました。 それから先も木や草花を眺めながらゆっくり歩いていたので、車のところへたどりついたのは午後4時頃となり、実に7時間ほども山の中で遊んでいたことになります。音羽山便りを始めてからは、ゆっくりと五感で感じながら山を歩く事が多くなり、新たな山の楽しみ方を知りました。 |