北アルプス紀行(4)01.09.14〜16

「山小屋体験」

初めての山小屋はそれは物珍しい。男女区別ない相部屋と聞かされていたし、勿論トイレは臭いし汚いことを予測していた。そしてとても狭くて小さい物を想像していた。しかし、以外にも小さいというのは間違いだった。勿論小さい所もあるのだろうが、今回宿泊した山荘は2つ共広かった。そして、個室なるものも存在し、私達ツアー18名は3部屋に分けられ、男性1部屋女性2部屋をあてがわれた。男女とも相部屋で着替えってどうするの??なんて不安はいきなり解消である。でも、相部屋でも多分大丈夫なのだ。基本的に着替えなんて必要無いらしい。初日の夜のミーティングで、ツアー主催のLA社社長から訓示があった。速乾性のウェアを着用すれば、たとえ汗をかいても30分くらいブラブラしていればすぐに乾くそうである。そいういうウェアを着て、3日間くらいなら着替える必要はない!と断言された。高山病にかかる人の要因にザックの重さがあるそうである。とにかく荷物を軽くすること。山を楽しむための鉄則なのだそうだ。

それから、ザックを担ぐこと。これも相当のプレッシャーがかかるらしい。日頃からリュックを背負うことに慣れることも登山の訓練になるそうである。足腰を鍛えるだけでなく、リュックになれる、荷物を少なくする。これ山歩きの常識!!だそうだ。

山小屋の時間は下界とは違う。夕食は5時〜7時くらいには交代で全員が済ませる。消灯は2つの山荘ともに8時15分だった。もっと早い山荘もあるのだろうか?電気といってもはだか電球が一つ部屋についているだけであるが、定刻にピタッと全ての灯りが消えた。見事なもんである。基から切られるから勝手は許されない。それまでには全ての準備が終わっていなければいけない。終わらない人は各自懐中電灯を頼りに手探りで行動する。トイレへ行くのも懐中電灯がなくては話にならない。

そして朝、早い人は4時前に出発している。さすがにそんなに早いと朝食は取っていないだろうが、朝食も順番で5時頃から開始である。朝の点灯は4時半〜5時で、起きた時には当然真っ暗。やはり懐中電灯にお世話になって、洗面・着替えとなるわけである。小屋泊まりならヘッドランプでなくても良いのでは??というアウトドアのアウトレットの店のお兄さんの言葉を信じた私は間違い。大層でもなんでもない。ヘッドランプは必要です。仮に4時に山荘を出て歩き始めるなら、夜も明けてないから当然道も暗い。これだけは次の山歩きまでにGETしなければなりません。

スキー小屋ではないけれど、乾燥室というものがある。そう、雨に合った時の雨具等を乾かすためである。早速初日にお世話になったが、あまりにもたくさんの雨具が干されていて驚いた。人にはそんなに会わない。みんな部屋にこもっているからだろう。しかし、雨具の数は相当のものである。時折様子を見て、空いたハンガーを見付けた人から自分の雨具を干すことが出きる。しかし、間違わないものか??小物には名前を書いたのに、カッパの上下に名前を書いてなかったことを後悔した。とりあえず私のものは間違い無く戻ってきたが、ツアーの1人が同じ型のSサイズなのに、それが紛失してLが残っていたらしい。小屋でアナウンスをしてもらい、各部屋周りをして間違えた人を探しておられた。ようやく見つかり一安心。やはり全てのものに名前は書いておいたほうが良い。幼稚園や小学生みたい〜!なんて気持ちは捨てよう。

食事はカレーなんかを想像していた。それは間違い。一応朝夕共にご飯とお味噌汁、小鉢物にメインが魚と付け合わせ。付け合わせはいつも同じだしお味噌汁の具も同じだけれども、そこは山の中の事。充分な食事だと思った。ご飯・お味噌汁はお代わり自由。山小屋で食べるご飯はとても美味しいものだった。

山の中で水は貴重なものだということは一応認識してはいた。しかし、手を洗う水がわずかに出るだけで、顔を洗うことすら出来ないとは思っていなかった。小屋の宿泊者には1人1リットルの水の配給がある。その水を歯磨き・洗面にも使うのだ。足りなければ1リットル150円で購入する。コンタクト使用者の私としてはかなり不便に感じた。しかし、水を分けてもらえるだけで有りがたいのだ。3日分の水を背負ってなんてとても歩けない・・・。
貴重な水資源、山を下りて最初の歯磨き・洗面で改めてその有り難味を実感。これからは無駄遣いしないように気をつけよう!

やはり山小屋一番の話題はトイレ事情。キャンプなんかでも野外で用をたす場合、ティッシュを廃棄してはいけないとは知っている。紙が土に返らないから・・・。では、ということで水に流せるティッシュならば土に戻るだろうと用意していた。しかし、山小屋にはちゃんとトイレットペーパ−があるではないか!なーんだ!と安心して利用していた。

何度目かにトイレに入った時、目の前の張り紙にようやく目を留めた。「山の中の微生物が少ないため、分解に時間がかかります。ちり紙は焼却処分を行いますので、備え付けの箱へ捨てて下さい」えーっ??捨てちゃ行けなかったのだ。用済み後のトイレットペーパーは包んで箱へ捨てなければいけないのだった。何度か便器内へ落としてしまっていた私としては、とても肩身が狭い気がした。小屋の皆さん・山を愛する皆さんごめんなさい。

それでも2泊目の冷池山荘には喫茶室&バーのようなものがあり、ケーキセットがあった。チョコレートケーキと飲み物で950円。コーヒーはちゃんとフィルターで入れていた。疲れた体に甘いケーキはとっても美味しい。ここまで来てケーキ??って気もしたが、やはり目の前にあったら食べずにはいられない。

山小屋があるおかげで、荷物を最小限にして私達は山へ入ることが出来る。トイレも水も電気も食事も、布団で寝ることが出来るのだから上等なものだ。あとは利用するたくさんの人達のお互いの思いやりとマナーが重要なのだ。夜遅くまでごそごそしてる人、お水の引き換えは7時までと言われているのに、無理やり小屋の人を呼び付けて水入れろと怒鳴る人、濡れたザックカバーを付けたまま小屋の上がり口に平気でザックを下ろす人、あげくに濡れたカッパ着たままでんと座り込む人。次に上がる人の靴下が濡れるやろ!自分の家の玄関に濡れたまま腰掛ける人がいるか??なんて、やはり気になるのは人である。人の振り見て・・・、自分も心して臨まなければいけない。山中ですれ違う時だけ良い顔してるのではいけない。大きな勉強になった。


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