北アルプス紀行(3)01.09.14〜16


山の朝靄は美しい

刻々と表情が変わる

爺ヶ岳中峰2670m

ブロッケン現象も初体験!




「冷池山荘〜扇沢」(3日目)
いよいよ最終日となる。お天気は???朝からやはり雨である。上がるだろうという予報であるが、雨は雨。やむなくまた雨具装備での出発となる。

本日はまた一段と早くなり、朝食5時・集合5時半となる。準備体操後5時40分には山荘を出発。体操している間にも遠くの空には青空も覗き、後の天気に期待がかかる

夜があけきっていないような、うっすら白い景色の中を歩き始める。一応目指す爺が岳の姿は捉えることが出来、不安はない。

途中冷池乗越の辺りで既に雨は上がり、幸運を喜び合う。上りが苦手な人もいて、曇りで景観が期待できないことから、爺が岳中峰をパスしたい人が出た。チームを2つに分け、登る組・巻く組に分かれる。勿論私は登る組。絶景は望めないものの、朝もやのかかった山の景色は幻想的で、ときおり霧が途切れ浮き上がるように蒼く山々が現れる。緑ではなく蒼いのである。その一瞬一瞬に一喜一憂しながら、カメラを手放すことが出来ない。雨上がりの朝にしか出会えないその景色に見惚れつつ、最後の登りを名残惜しんで一歩一歩踏みしめた。爺が岳中峰標高約2670m、7時10分到達。

行きに登った南峰は帰りは巻いて、前日の種池山荘を目指す。行きにはここで雷鳥に会った。また出てきてくれるだろうか??中峰巻く組にも追い付きまた全員での下りとなる。

随分霧も晴れてきて真後ろの爺が岳南峰の後方より太陽が顔を出した。明るい陽射しを背にまた足取りも軽くなる。と、誰かの叫び声。何事かと思えば、ナント「ブロッケン現象」が見えたのだ。雨上がりの霧(もや?雲?)に太陽の光があたり、七色の虹のリングが出来る。そのリングの中に自分の影が写るのである。列の中ほどに居た私がその場に駆けつけ時には、もう消えていた。「また出るよ」という人の言葉を信じ、崖下を見つめつつ歩く。と、出た!出た!今度はもっとはっきりくっきりと虹のリングが出来ている。さすがに山経験豊富な方々もこの現象に出会ったことのある人はなかったようで、皆さん感動しておられた。私は初登山にしていきなり初体験である。これはかなりラッキーである。雨がくれたご褒美である。雷鳥には再会できなかったが、思いがけない「ブロッケン現象」が今回の山行きにまた華を添えてくれた。

種池山荘へはその後まもなく到着。わずか1日しか経っていないのに、なんだか懐かしい。

8時5分着。トイレ休憩および雨具収納(歩いている間に雨具が乾いていた)後8時30分頃山荘発、後はひたすら扇沢目指して下るのみ。やはり天気は曇り空、いっこうに霧が晴れる様子もない。雨が降っていないことだけが幸いである。来た道を下っているのだが、登りの時は雨で足元ばかりに気を取られていたからか、覚えの無い道も結構ある。そんなこんなをすべてひっくるめて、もう思い出話をしながらの下山となった。帰りの電車の時間を気にして焦る人も居たが、ガイドさんの的確な足運びで慌てることもなく定刻より少し早めに扇沢出合に到着。11時15分。本日の行動時間5時間35分、歩行時間約5時間弱。

初めての連泊での登山、初めての雨、初めての重い荷物、すべてが初めて尽くしの今回のツアーは、出発前日には心拍が早くなってしまうほど心配もしていた。足がもつか、肩がもつか、気持ちがもつか・・・?しかし、以前に「出来ない事はない。それは全てあなたの思い込みだ」と言われたことがずーっと頭にあって、「そう、私には出来る」と自分に言い聞かせていた

「出来ないのでは?」と考えるより、やりたいと思う事に正直に行動を起こす。自分の内の声に素直に反応する。そう思ってツアーに参加することにした。でもそれは、なんとなく簡単なようで難しい。自分で決めてやるからには責任があるわけで、特にツアーのような団体行動においては足を引っ張らないようにと思うだけでも相当のプレッシャーである。しかし、初日歩きはじめたその瞬間からその不安はどこかへ行ってしまった。ゴタクを並べても仕方が無い、歩き始めた以上は歩き通すしかない、これは開き直りだろうか?ようやく覚悟が出来たのである。そして、大変だと感じる以上に、たくさんの事に巡り会えた。

自然は大きい、まったく予想できない。危険と隣り合わせである。しかし、美しく人を魅了する。山頂からの展望だけではないその時その時の顔がある。私たち人間に感情があり、その瞬間瞬間に表情が変わるように、山や草木にもまた瞬間瞬間の表情がある。そしてそれに出会った人の数だけまた感じ方も違う。「この山はこうだった」なんて決して決め付けることはできないのだ。「毎回毎回新鮮な気持ちで山に向かえば、新たなものに出会えます」と教えられた。その言葉がとても身に沁みる。


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