扇沢バスターミナル 登山口にて 種池山荘まで3:30の道標 一面チングルマの綿毛 無事山荘に到着しました |
「扇沢〜種池山荘」(1日目) 兎にも角にも、山小屋へ泊まることも連日の登山も初めての体験となる。必要なものを揃えることから今回の山行きが始まっていた。たくさんの人のアドバイスの下、なんとか形を整えてザックに詰め込み担ぎ上げる。引っくり返りそうな重さ・・・。体重計に乗って見るとナント10kg近くになる。。ふー!「これ担いで歩くのか−!」先行き不安一杯で出発となった。 前日までの天気予報によると、登山初日の天気は朝方までは雨、のち曇り・・・。雨上がると信じていた。しかし、、、自然は甘くなかった。集合はJR大糸線の信濃大町よりバスで30分ほど行った「扇沢」という駅。その「扇沢」からは黒部ダムへ抜けるトロリーバスが出ていて、かなり立派な駅でしかも人出もそこそこ賑わっている。 今回の登山ツアーは白馬に拠点のあるリトルアドベンチャーという会社の主催。近畿日本ツーリストとタイアップして東京方面ではたくさんの登山ツアーを募集しているらしい。関西方面へは最近進出してきているようであるが、参加者は18名中15名が東京方面から、山形から1名、関西からは私を含めて2名だけであった。男性6名女性12名で圧倒的に女性優位、しかも年齢層はかなり高く、リタイア組みのご夫婦や70近い女性も2人いた。しかし、皆さん山慣れしており、70近い方が一番の元気者。一昨年には剣にさえ登ったというその健脚振りは年齢を感じさせないもので、脱帽ものである。ここに、ガイドが2名ついて計20名のパーティとなった。このメンバーでの3日間の人間模様はご想像にお任せしよう。 期待を裏切って雨は止みそうにない。小降りになったりまた激しくなったりを繰り返している。やむなく最初からすっかり雨具に装備を整えての出発となる。勿論初めての連日登山の私は雨具も新調したばかり・・・、早速お役立ちで有りがたいことである。 参加者の大方の人はかなりの山の経験者のようであったが、それでも雨具を着て歩く機会のあった人はさほど多くないらしく、雨を恨む声もかなりあった。しかし私個人としては私の山の師匠の「雨の中の山歩きもまた良いんですよね〜」との言もあり、初雨体験を少々楽しもうと思っていた。 扇沢駅から登山口である扇沢出合まで約15分車道を歩く。出合からいよいよ本日の山登り開始、標高1400m、12時30分。 最初の柏原新道と呼ばれるところは元々林の中の道で風も通らず景色も見えず、暑さにバテル人が多いそうで、初秋にさしかかったとはいえ雨具に身を包まれている私達は覚悟をさせられた。登り始めのもみじ坂は結構な坂道で、カッパのフードで前は見にくいし、周りを見渡しても林だけ、たまに隙間を見つけてもガスがかかっていて何も見えない。黙々と前の人の足元を見つめて歩き続ける。(本来ならばその名の由来のもみじが回りに美しく見えたのかもしれないが・・)カッパの中は汗がびっしょりで、確かに暑さが堪える。1時間ほど歩くと、少し登りが楽になる。たまにガスが途切れて山の上の方が見える時がある。山が見えるととてもホッとする。歩こう!という意欲が現れてくる。しかしまたガスに覆われ、何も見えなくなると足元だけしか見なくなる。ようやくそういう歩きに慣れた頃、雨音に耳を傾ける余裕が出来てきた。カッパにあたる音、地面にあたる音、木の葉にあたる音、色々な音が聞こえてくる。時折山鳥の声もする。(ガイドさんの話ではメジロムシクイという鳥がいて、その鳴き声が「金くれ!」と聞こえるそうである。そのメジロムシクイも鳴いていたそうだが、私には最後まで「金くれ!」とは聞こえなかった。まだまだ修行が足りないようである。)そして、我々の足音と吐く息の音、無の世界へ迷い込んだような錯覚を覚える瞬間があり、なんとなく「こういう感覚もいいのかな?」などと思いながら歩き続ける。 遠くの景色にとらわれず、足元を見つづけていると、ようやく小さな花に眼を留める。ダケカンバの木々、大きな松ぼっくりを天辺に頂いた松の木、足元にはオヤマリンドウやタテヤマアザミ、名前を聞きそびれた黄色い小さな花や赤い花もあって、退屈だった登りの道もだんだん楽しくなってきた。 「雨の後は崖崩れの危険がありますので注意して歩いてください。」と注意をされたガレた道を過ぎると、初日の目的地である種池山荘までもう一息である。最後にまた急な上りがあり、息を切らして懸命に歩くとようやく稜線が見えた。その辺り一面はチングルマの花畑のようである。残念ながら花はもう終わっていたが、タンポポの綿毛のような状態になっていて、あたりのハイマツの緑の絨毯のなかに白い綿毛がとても綺麗に映え、雨の山歩きで疲れた私達を和ませるように出迎えてくれた。 種池山荘、標高2450m、16時30分着。本日歩行時間約3時間半、行動時間約4時間。 |