「紅葉と木の実ハイク」03.11.30.


フユイチゴ採り

フユイチゴ

季節外れのアミタケ

山科方面を望む参加者一同

ヤマウルシの紅葉

大津市内を望む

2003年11月30日・曇り一時雨

午前9時JR山科駅前集合。昨日一日中雨が降り続いていたので、参加を取りやめる方が相次ぎ、結局参加者は5名となってしまった。雨でも大丈夫なように皆さん長靴で参加され、ハイカラな装いをしたハイカーたちが集まる中で異彩を放つ。

雨は止んではいるが雲は低く垂れ、いつ雨が降り出してもおかしくないような空模様である。『午後からは20%の降水確率』を信じて長靴軍団の出発。

駅から住宅街を抜け、10分ほど歩くと琵琶湖疎水に上りつく。疎水沿いの道は格好の散歩コースで、いつもなら多くの人にすれ違うが、雨上がりとあって今日は疎ら。道沿いに植えられたイロハモミジやオオモミジは、ちょうど見頃でまずまずの色付き、きっと日当たりが良いせいだろう。

今日のハイキングのテーマは「紅葉と木の実」。「紅葉観賞はこれで大体いいとして、あとは木の実ですね」と言う参加者。それに応えるかのように、まず疎水沿いではムクノキの実とシシャンボの実を賞味していただく。

天智天皇山科陵の横を過ぎて程なく、疎水と分かれて山の中へ入って行く。大きなクヌギやアベマキ、コナラの生い立つ谷の中は明るく気持ちが良い。コバノガマズミの実を試食程度に口にし、地表を覆うフユイチゴに実がたくさん付いていたのでこれを採る。苺は量もあり味もまずまずなので、参加者の皆さんせっせと採って食べておられた。ただすでに失敬しているものが居り、採った痕があちこちに残っていて「鈴なり」とは言えないのが残念だ。

毘沙門堂へ越える峠から急な尾根道に入るが、途中でアミタケをたくさん見つけた。この季節に見つかるのは異常であり、例年にないほど暖かい秋のせいであろう。急な坂道を登り終え山火事跡に飛び出すと、広大な視界が広がっていた。山科盆地は勿論、京都市街や遠く大阪までも望む事ができる。

わずか歩くと普通のハイキングコースに合流し、平凡な山道を30分ほど歩くと大文字山の山頂に着く。大文字の火床からは京都の街が手に取るように広がるのであるが、そこまでは相当下らねばならないので今回は割愛し、展望のほとんど得られない山頂から引き返すことにする。

これより方向が変わり、東西に延びる尾根を東へ向って如意ケ岳を目指す。途中で2回目のフユイチゴ摘みをし、また道の傍らにあったナツハゼの真っ黒い実も戴く。独特の甘酸っぱさは忘れがたく、これを食べた参加者の一人は、「この味は覚えている」と、少年時代の記憶を蘇らせておられた。

雨社(あめのやしろ)を過ぎ、大阪空港の電波施設を乗り越え、電波施設への進入道路を少し歩く。山科方面の視界が開けたところで昼食にしようとザックを下ろすと、見計らったように意地悪な雨が降り始めた。量はわずかであるがすぐには止みそうもない。そこで傍のヒノキ林の中に入り昼食とする。

先ほど採ったアミタケと、先週採ってきたナメコを入れてキノコ汁を作る。じっとしていると幾分寒さを感じる程であるから、温かい味噌汁はありがたい。味噌汁のできるまで、10月の霊仙で拾ったオニグルミを割り、中身をほじくり出す。アルコール類はなくとも山の話は尽きず、1時間あまりのいささか長めの昼食を終える。 

ヒノキ林を出るとまだわずかに雨は残っていたが、すぐにまた林に入るので合羽をつけるまでのことはない。進入道路の入口近くに、比叡山と琵琶湖の望める所があるが、手前に皇子山のゴルフ場が広がっているので興ざめする。

再び雑木林に入ってどんどん下り、三井寺の裏口も過ぎて谷に下ると、フユイチゴが一面覆っているところがあった。ここで食後のデザートに苺をいただくが、ずっと苺ばかりを食べているかのようで、まるで「苺狩ハイキングのようね」という感想すら。

小関越で車道を渡り再び山に入っていくと、そこはこの界隈で一番のお気に入りコース。黄色く色付いたタカノツメやコシアブラが多く、とても明るい雑木林が続いている。曇っていると黄色い葉があるだけで、ずい分明るく感じるものだ。

山の頂が相場山、昔大阪の米相場を旗を使って大津まで伝えたとか。木立が切られて琵琶湖や大津の街並みが望まれる。さすがにここまで来れば下界の喧騒もはっきりと聞こえてくる。

まだ時間も早いので(アフターハイク会場の開店時間のこと)、少し寄り道をして音羽山が眼前に広がる送電線の鉄塔下で大休止。ここからは下界の物が見えず、展望のいい山の頂きにいるかのような気分になる。

長等山から蝉丸神社に下り、京阪大谷駅着午後4時40分。山科駅まで電車に乗り、そのまま全員アフターハイク会場へ直行。ちょうど開店時刻であった。

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