「川下り」03.07.27.


トロッコ道を行く

ムラサキホウキタケ

水の滴る岩

クサアジサイ

ヌスビトハギ

苔生す岸辺を歩く

そして、飛び込む

キツネノエフデ

ヤマジノホトトギス

名前御存じの方お知らせ下さい

焚き火でおやつ

お疲れさまでした

午前8時にJR京都駅前に集合、参加者は全部で4名である。

今日は芦生・由良川を下る予定であるが、今年の梅雨は長く気温が低い。その上雨が多かったので期待どおりに泳いで下る事は無理だと思いながらも、カンカン照りの暑い日になる事に一縷の希望をつなぎつつ目的地芦生に向かった。

しかし無情にも風は冷たく、雨こそ降りはしないが雲が空一面覆っている。演習林事務所のある須後の駐車場に車を止め、身支度をして午前9時50分出発。由良川沿いのトロッコ道に入り、眼下の流れを見ると水量はいつもより随分多いようだ。ただこの程度の量であれば危険というまではあるまい。

オオルリの澄んだ鳴き声が響き、頭上の木々からはヒグラシの声が降り注ぐ。この時期、この道沿いで見られる花はわずかである。ノリウツギ、クサアジサイ、ヤマブキショウマ、シモツケなど、エゾアジサイはすでに終わりに近く、色褪せた装飾花が名残を留めているだけである。

しかし、キノコ類は多く、シロハツやクサハツの仲間、シロイボガサタケ、ムラサキホウキタケなどが見られた。花が少ないと自然観察会というまでには至らず、予定より早めの12時ちょうどに七瀬に到着する。ここで全員渓流足袋に履き替え、流れを渡って対岸の岸辺で昼食にした。

普段の2倍は水量があり、水も夏とは思えぬほどとても冷たい。昼食後川下りの身支度をするのであるが、冷たいということを念頭にそれぞれが考えてきた思い思いのスタイル(一応泳ぐ事を想定して)に変身する。さあ出発。(出発してすぐに泳いでみたが、水が冷たくとても長くは入っていられない。皆さん一度は挑戦されましたが再挑戦には勇気がいります。)

これより下流は所々淵をつくることはあるが、どちらかの岸を簡単に歩く事ができるので、深くても股下まで浸かれば通過できる。コケに覆われた岸辺を歩くときは、まるで高級じゅうたんの上を歩くかのように心地よいが、コケを傷めないようそっと足を載せる。

浅瀬を渡渉するときは、ジャブジャブと子どもの水遊びのようである。しかしこれは初めのころだけであって、歩けど歩けど尽きない流れに次第に疲れが出てきて足の裏も痛くなり始め、半ばを過ぎた辺りの河原で焚き火をする事にした。

長雨で濡れた枯れ木はなかなか燃えず暖をとるのも容易な事ではない。やっと燃え始めると火遊びが始まる。参加者持参のパンを小枝に突き刺し、火にあぶって食べると美味しい。ソーセージや果てはせんべいまで試みるところはさすがに遊び心が旺盛であると感心する。大して温まらないうちに1時間ほどの時が瞬く間に過ぎ、時刻は午後4時になっていた。

もう休んではいられないので、恋しい炎に別れを告げ、先を急ぐ事にする。岸辺には様々な木の実が垂れ下がっているが、いずれも緑色をして遠くからは見分けがつかない。サワグルミ、オニグルミ、アオダモ、クマシデ、アカシデ、ハクウンボク、エゴノキ、チドリノキ、ウリハダカエデなど、本当に多彩である。

が単調な川下りと格闘していると、自然観察は二の次になってしまう。さらに面白い事には、秋のキノコである毒キノコのツキヨタケが早々と傘を拡げていた。もう夏は終わったと勘違いしたらしいが、カレンダーがなければそう思っても不思議でない近頃の天候である。

それから道中で特筆すべき事は、中州の乾いた所でマムシに出会ったことである。それも続けて3匹に(私は2匹見ただけであったが)。これほどの頻度で見るのは初めてであり、一年分の出会いがあったようなものだ。今日の曇天がよほど彼らには心地よかったのであろうが、これだけたくさんのマムシに出会った我々は、以降足元に過度の神経を使わざるを得なくされてしまった。

灰野辺りからは谷も大きく広がり、流れの中よりも陸の上を歩く方が多くなる。これだと歩みがはかどりありがたい。やがて本流に架かるトロッコ道の橋が現れ、この長い長い川歩きは終末を迎える事になる。駐車場に着いたのは午後5時45分、途中1時間ほど休んだとはいえ、実に5時間以上もの川歩きであった。

参加者の皆さんが黙々と流れの中を歩いておられる姿は、涙ぐましいものがありましたが、それでも何とか無事(途中倒木の上から転落した方もありました)全員最後まで歩き通すことができました。楽しみにしていただいた泳ぎもできないまま、冷たい川の中を延々と歩いていただき本当にお疲れさまです。

例年なら一年で一番暑くて一番天気の良い時期なのですが、今年は申し訳ないほど全てが正反対でした。来年もまた企画しますのでこれに懲りずに再挑戦して下さい。

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