キノコ採りハイク01.10.20.


センニンソウ

ムカゴ採りの名人芸

ムカゴ

木々に囲まれて深呼吸!

虫たちも活動しています

こちらはカメムシの仲間?

シロタマゴテングタケ(毒)

モリノカレバタケ(食)

里芋の天ぷら

美味!焼きめざしの天ぷら!

隅田式飯ごう炊さんの見本

水面に映る森は幻想的です

気心の知れた常連の参加者たち

秋晴れのハイキング日和となったその日、午前9 時JR宝塚駅集合。すぐに電車に乗ってとある駅で下車し、昨年と同じコースをたどることにします。参加者は私(福本)を含めて8名、里山遊々クラブの常連ばかりで、最初から気遣い無用の気楽な出発となりました

車のほとんど通らない車道を道幅いっぱいに拡がり、林縁から道路に垂れ下がる木や蔓の中に果実を探しながら、まるでウインドショッピングしているかの速度で歩くのです
から、なかなか前には進みません。

赤く色付いているのは、ガマズミ、サルトリイバラ、ソヨゴなどで、黒いブドウの房のようになっているのがアオツヅラフジ、そのほかヘクソカズラ、センニンソウ、ケンポナシなどが見つかりました。ケンポナシはまだ早いのか、ただ渋いだけでまだおいしくなっていません。

それから、果実ではありませんが、目当てのヤマノイモのむかご。下見のときは鈴なりでしたが、今日は高いところや陰になったところに残っているだけで、誰かが先に頂戴したのでしょう。

それでも傘を逆さに拡げ、高いところのむかごを木の棒で落としたり、陰に隠れたむかごを根気よく集めたりすると、結構な収穫となりました。

やがて道路と分かれて歩道を山の中へ入っていきます。先週他の山へでかけたキノコ採りでは、ほとんどキノコにお目にかかることができず、今年は例年にない大不作と思わ
れましたので、参加者には「期待しないで下さい」と最初から釘を刺してはいたものの、数日前の雨とその後の冷え込みで私自身が少し希望を持っていたようでした。

第一ポイントでは、数本のシロタマゴテングタケと1〜2本のエセオミキやモリノカレバタケにしか出会うことができず、その後に期待できないことを確信し、悲壮的にすらなってしまいます。さらに奥に進むと歩道沿いで、あまり新鮮ではありませんが20本余りのアミタケを収穫することができました(これが今日の収穫の大半となってしまいましたが)。

第二ポイント、第三ポイントと進んでもまったく何も採れず、早々と昼食予定の小川へ着いてしまいました。常連ばかりの参加者ですから昼食の用意はお任せして、私一人で秘密のポイントへ。しかしやはりダメ。結局アミタケのほかはショウゲンジ、エセオミリキ、オウギタケ、カバイロツルタケ、ホコリタケが各1〜2本という寂しさ。大収穫だった昨年とは雲泥の開きがあります。今夏の暑さと少雨がキノコに大きなストレスとなったようです。

思うようにならないのが自然であるという当然のことを、今更のように強く感じました(これを人間の都合のよいようにしようと考えること、そのこと自体が人間の傲慢であって、たとえそれが表面上一応叶えられたとしても、いずれ大きなしっぺ返しとなって戻ってくることでしょう)。

参加者もこの道理をよくご存知ですから、がっかりされる様子もなく「これだけあれば十分」と優しいお言葉まで頂くことになりました。材料が少ないと食事の準備も早く終わり、むかごご飯、アミタケの味噌汁、アミタケの大根おろし和え、他のキノコのかき揚げができ上がり、アルコールも少し入って昼食の始まりです。

てんぷらの材料が少ないので周囲を探し、フジやタカノツメの葉、アケビの果皮と果肉、それから自然館で買ってきた「焼めざし」もてんぷらになりました。フジは繊維が残りタカノツメはかなり苦くていずれももひとつですが、アケビの果皮は山菜料理にもあるほどですからほろ苦くてなかなかおつなものです。それからアケビの果肉のてんぷらは種まで食べられました。

「キノコが少ないからこそ、こんなものも食べることができた。」という参加者の再び優しいお言葉に涙が出そう。ものが無いと食事も早く終わります。いつもは準備から出発まで3時間は見ておかねばなりませんが、今日は2時間足らず(これでも相当長いのでしょう)で出発となりました。

平坦に近い山の中を抜け、尾根を越える途中でリンドウの花一輪、尾根上でナツハゼの酸っぱい実を口に入れ、尾根を下ると車道へ出てきます。この道も車はわずかしか通らないため、両側の草木をゆっくり見ることができます。

アキグミやコバノガマズミの実を口に入れたり、アメリカセンダングサ、イノコズチ、キンミズヒキ、アレチノヌスビトハギなどの草の種を衣服に着けあったり、また色付く木の葉を眺めたりと、それら草木の説明もまじえて、キノコ採りはさながら自然観察会となりました。

車道から再び武庫川沿いの荒れた歩道に入ってしばし進むと、やがてオニグルミの木や、ヤマノイモがたくさん生えた林道に出てきます。ここではクルミの実を探して拾う人、再びむかご採りに執念を燃やす人、果ては蔓を頭に巻きつける人まであり、移動はほとんどストップ。しばし童心に帰ってのひと時を過ごすことになりました。

JR武田尾駅に着いたのは5時少し前。歩くだけなら2時間もかからないコースでしたが、7時間半も本当にゆったりと過ごした秋の一日でした。

●引率の福本さんから文章をいただきました。

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