紅葉と木の実、草の実を求めての里山ハイキング00.12.02


ヘクソカズラ

ヤブラン

ジャノヒゲ

ヒサカキ

ソヨゴ

ノイバラ

カナメモチ

フユイチゴ

ヤマイモ

秋も深まり暦の上では冬に入ったばかりの12月最初の土曜日(2日)、紅葉と木の実、草の実を求めての里山ハイキングに出掛けました。
午前9時に阪急大山崎駅に集合。今回は私(福本)を含めて4名のこじんまりしたパーティーとなりましたが、小人数であるためゆっくりと自然を五感で感じることができました。
出発してすぐ線路沿いの網に絡んだヘクソカズラの黄土色の実(潰すと臭い汁が出るのでそんな名前がついています)やヤブガラシ、アオツヅラフジの黒い実が早速出てきます。ヒナタノイノコヅチ、ジュズダマ、チカラシバなどごく普通の雑草の実、庭先の園芸植物まで説明することになってしまいなかなか前に進みません。

やがて紅葉のイロハカエデに飾られた神社境内に入ると、ヤブランやサカキ(榊)の黒い実、ヤブミョウガの紺色やアオキの赤い実などが現われ、道はか細く山の中へ入って行きます。ちらちらと色づいた葉が舞い落ちる中を、紅葉する木々の名を説明しながら登りゆくほどに次第に声は途絶え気味となり、茂った雑木林の中にはジャノヒゲの青い実やヒサカキの黒い実程度しか現われず、やがて緩やかな登りにと変じた辺りで休憩としました。
湯を沸かしお茶を入れる間に、耳を澄ますと、カサカサと落ち葉の上を走る小動物が。リスです。私達の少し離れたところを軽やかに跳ねながら通り過ぎてゆきました。これも晩秋であることの証しでしょうか。
休憩後しばらくで天王山ハイキングコースに入り時々人に出会うようになりましたが、道中もソヨゴの赤い実、タカノツメの黒い実などがあり、それなりに自然を感じながら進むと、やがてコースは車道を歩くことになります。すると景観とは裏腹に俄然草木の実が増えだし、赤い実では、ノイバラ、カナメモチ、コバノガマズミ、カマツカ、フユイチゴ(最後3種類は食べることができ殊にフユイチゴは豊作でたくさん口にすることができました)、ツルリンドウなどが、また黒い実のスイカズラも現われ、紫色のノササゲ、ムラサキシキブ、ヤブムラサキは一際目立っていました。ヤマノイモやスズメウリは何と言う愛らしい姿でしょうか。

そのほかイタドリ、クズ、ヤマウルシ、ヤマアジサイ、ウバユリなどの枯れた色合いの草木の実も、それぞれが味わいのある姿で目を楽しませてくれます。

山田の畦道で少し遅めの昼食。雑炊を作りながら日本酒を少し戴き、柔らかな陽を浴びつつ周囲の色付く山肌を眺め、ほろ酔い気分に浸っていると、すっかり現実から遠ざかってしまいました。
しかし、あまりにゆっくりと休んでいたので陽が山に翳りだし、慌てて出発することになり、最短距離で川沿いの少し荒れた道(一般的ではない)をひたすら日没と競って歩きました。どうにか暗くなる前に林道に出、全員ほっとしたものです。その後は夕焼けに染まり次第に黄昏れる中をしかしのんびりと、なおも路傍の植物を捜しながら海印寺のバス停に向かいました。バス停に着く頃にはとっぷりと日も暮れ、寒さを覚える時間となっておりました。
 参加者のいろんな感性に触れ、何気なく見過ごしていた景観の中に、様々な自然の造形美を発見できた本当に有意義な一日でありました。また、種の継承のために全エネルギーを費やして実を結ぶ彼らに、心からいとおしさを感じるとともに、生命の貴さをより深く実感した一日でもありました。

※今回は、引率して下さった福本さんから原稿をいただきました。有り難うございました。そしてお疲れさまでした。

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