「芦生の森から」06.04.01.


江若国境直前から百里ケ岳

江若国境直前から琵琶湖方面

江若国境尾根から百里ケ岳

百里ケ岳山頂より三重岳方面

百里ケ岳山頂より芦生(傘峠)方面

百里ケ岳山頂より小浜湾

マルバマンサク

根来坂峠

P871mから小浜湾

P871mから芦生(三国峠)方面

P871mから芦生(三国岳)方面

P871mから若狭湾(三方)

P871mから百里ケ岳

黄砂混じりの雪と普通の雪

おにゅう峠

おにゅう峠

おにゅう峠の上から比良の山々

三国峠から百里ケ岳方面

鹿の寝床

晴れのち曇り・生杉入口〜小入谷越〜百里ケ岳〜根来坂峠〜クチクボ峠〜三国峠〜生杉ブナ原生林上部尾根〜生杉入口

生杉の入口に車を止め、午前6時40分出発。小入谷越まで舗装道路を20分ほど歩き、そこで登山靴に履き替えてワカンを付け、百里新道の夏道を辿って行く。

今週降った雪が30cmほども積もっており、この新雪がなければこの辺りはほとんど雪が残っていないだろうと思われた。新雪は風に弄ばれたのだろう緻密で重く、20cm程度のラッセルでもずっしりと足に負担を感じる。

江若国境までは幾つものピークを越えなければならず、重い雪質もあってなかなか国境が近づかない。ただ、ピークの度に高度も上がるので、展望もそれと共によくなっていく。

P805mに着くと百里ケ岳が眼前に現れ、やっと目的の山に出会うことができた。痩せた尾根を通過し最後の急斜面を登れば江若国境、午前9時ちょうど到着、百里ケ岳山頂まではもう少しだ。国境稜線上は風が強かったのだろう積雪量も少なく、多少締まっていて10cmほどしか沈まなくなった。

小さなピークを越え、岩の露出したコブを2つほど過ぎて最後の斜面を登れば百里ケ岳山頂、午前9時40分着。一等三角点が置かれているだけあって、遮る山のない大展望だ。

特に北方は素晴らしく、三重岳〜三十三間山へ連なる白い稜線は憧憬を惹起させ、若狭湾は海岸線まではっきりと見えている。振り返った南方は樹木に覆われてすっきりとはしていないが、木立の合間からは芦生や比良の山々そして琵琶湖を隔てて伊吹連山も望まれた。

夏場は木立が茂って展望はよくはなさそうだが、雪に覆われた今は申し分のない眺望だ。ただ薄曇りで黄砂も飛んでいるのか視界は今一つであり、白山など遠くの山は見ることができず残念であった。

15分ほど山頂に留まり、引き返してさらに国境稜線を南西に辿って行く。P871m手前のコルが根来坂峠、旧小浜街道が越えており、かつては若狭から京へとここを通って物資が運ばれたのであろう。P871m午前11時着、1回目の昼食を摂る。

ここまでほとんど休みなく来たので疲れが出てきた。重い雪のために予想外に時間と体力を消費し、予定の三国峠はまだ遥か彼方である。「あそこまでは無理だろうから、どこかの尾根から下山しなければならないなあ」と、目の前の地形と地図を眺めながらの食事となった。

一旦下って次の緩やかなピークを過ぎた鞍部を新しい林道が越えており、「おにゅう峠」なる標識が立てられお地蔵さんまで祀られている。このお地蔵さんのある小屋は、雨露をしのいで泊まれるほど大きく立派であり、万一の時には役に立ちそうだ。

峠には「クチクボ峠」と書いた新しい標識が立てられており、最近国境稜線上に歩道がつけられたようである。峠から少し登って南に方向を転じ、比良の山並を眺めながら稜線をどんどん下っていく。最低鞍部付近にはちょっとした痩せ尾根があり、そこは雪がなくなっているのでワカンを外して通過した。

P659m付近の若狭側には緩やかな自然林が広がり、ゆっくりとしていきたいところだ。この辺りで足が急に重くなり、見上げるほど高く上る国境稜線を前に気力が失せ、ザックを下ろして一休みする。風もなく暖かな陽が心地よく、知らぬ間に座ったままぐっすりと眠っていた。

僅か15分ほどだと思うが、この眠りが体力と気力を蘇らせてくれたようだ。P803mの西側肩13時15分着、二度目の昼食を摂る。P709mへの吊尾根は雪が少なく、おそらく今週の雪がなければほとんど地肌をむき出しにしていたことであろう。雪の少ないのも幸いして、一気にP677mまで来てしまった。先ほどまではここから生杉へ下ろうかと思っていたが、三国峠まではもう一息。

芦生に入らず「芦生便り」というのもおかしいので、最後の気力を振り絞って当初の予定どおり三国峠まで行くことにした。クチクボ峠からの登りは、ただただ気力で歩くのみ。長沼まで上がって眼前に三国峠の山頂を見出したときには、「これで最後だ」と自然に嬉しさが滲み出す。

生杉ブナ原生林から上がってきたトレースを伝って山頂14時40分着、振り返って見る百里ケ岳の遠いこと。見慣れたはずの眺めながら、今日は感慨無量。来し方を目で辿っていると、一つ一つのピークにそのときの思いが蘇ってくる。が、武奈ケ岳の山頂が煙ってきた。天気が崩れる前に下山しなければ。

生杉ブナ原生林の上部尾根を下り、若走路谷出合の三国峠登山口付近に下り立つ。まだ70cmほども雪の残った林道を歩き(スノーシューなどのトレースがあって全く沈まない)、舗装道路で長靴に履き替え、生杉入口15時50分着。

今年一番疲れた日ではあったが、何とか予定どおりに歩けたことが嬉しかった。



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