「芦生の森から」04.07.19


京都府立大学演習林入口

バイケイソウ

ヤブデマリ

ツチアケビ

ナメクジの交尾

アラ谷

フタイロベニタケ

シモツケ

アイノ谷

七瀬東尾根

ヒバカリ(?)の子供

ホソ谷出合付近の由良川

天然のシイタケ

ロノロノ谷・三ボケ出合

ムシカリ

2004年7月19日・晴れ

久多の三国岳登山口を午前6時ちょうど出発。岩屋谷の林道を終点まで歩き、京都府立大学演習林管理棟の裏から谷に入る。

瀬音に掻き消されて聴き取り辛いが、アカショウビンの声が微かに聞こえてきた。渓流足袋に履き替え1週間ぶりに足を水に浸すと、心地よい冷たさが這い上がってきて、山へ来たという実感が湧きあがってくる。

しかし、残念ながらこの谷には滝らしい滝がなく、決して楽しいというまでには至らない。それでも途中で見ごろのバイケイソウの花や、ヤブデマリの赤く色づいた果実に出会った。

それにしてもガマガエルの多い谷で、何度踏みかけたり掴みかけたりしたことか。また、最後の急な斜面を登っているとカメムシが頭に止まり、追い払った後もしばらくあの悪臭が頭上より降り注いで閉口したものだ。

午前7時30分、上り詰めると城丹国境尾根、向こうは芦生の森である。踏み跡を天狗岳へ向かう。由良川源流を取り巻く分水稜の中でも、この三国岳〜天狗岳間の稜線が、薮が多くて一番歩き辛い。しかしそれが幸いして、この間で人に会うことは稀と言ってもよい。

ここでツチアケビの花を見た。写真を撮っていると、スズメバチそっくりのアブが付きまとい、落ち着かないことこの上もない(その後も一日中このアブに付きまとわれることになった)。

また、ここを歩いていて、持った木がやたらヌルッとしたので見てみると、親指以上の太さのナメクジが交尾しているところであった。多少触っても全く動じないところを見れば、無我夢中なのであろう。

天狗岳午前8時25分着。少し立ち止まっただけで、すぐに七瀬へ向かう尾根を下る。途中で20羽ほどの小鳥の集団に出会い、眺めているとそのうちの7〜8羽が、3m程の距離の枝に並んで止まりこちらを窺って行く。コガラである。しかしこれだけたくさんの小鳥に見られると、少し恥ずかしい。遠くからクロツグミの声も聞こえている。

最初のコルから北へ、アラ谷を下る。この谷も小さな滝が幾つかあるだけで、下りに使っても困難ではない。由良川午前9時25分着。

対岸の歩道を上流へ20分ほど歩き、今度はアイノ谷に入る。ものの本によれば結構険しいとのことであり、入谷前から緊張して少し体が強張っている。入ってすぐに滝が始まり、次から次へと滝が連続し、中にはシャワークライムで乗り越えなければならない滝も2本あった。

これは途中で心臓が止まりそうになっては大変と、最初からカッパの上を着け頭から水を浴びながら登った。登れない滝も2本あり、これは高巻いて越えたが簡単だ。

厳しい滝はどれかと思っているうちに滝場は過ぎてしまい、結果的には聞いていたほどには険しい所はなかった。途中、滝場を越えたところで昼食を摂る。最後の最後まで谷を詰めると七瀬東尾根午前11時10分着。

今日はここから大谷出合方向に伸びる尾根を下る。この尾根は全般に歩きやすい尾根であるが、所々にスギの幼木とエゾユズリハの薮が現れ、しばしば通過に手間取る。また、途中で尾根の分岐を間違え、標高差で150mも下ってしまっていたので、戻るのにかなりのダメージを受けてしまったものである。

尾根の最後もそれほどの急斜面ではなく、13時10分由良川に下りつく。ツボ谷とホソ谷のちょうど中間ぐらい。長い尾根道に体が熱くなっていたので、服を着たまま流れの深みにドボンと飛び込む。なんと爽快なことであろう!!これだから夏の川歩きは止められないのだ。

川の中を時々流れに入りながら15分ほど歩くと、ホソ谷出合、今度はこの谷を登る。水量が少ないが小さな滝がいくつも現れ、全て登ることができる。この頃には気温も上がっていたので、頭から水をかぶるシャワークライムもとても楽しい。水が涸れるころ、左の稜線に登ればツボ谷出合付近へ続く尾根に出た。

少し上がればロノロノ谷との分水尾根、14時30分着。これをロノロノ谷と三ボケ出合に下り(ここのナメは優雅で素晴らしく気持ちのよいところである)、三ボケを溯って枝谷を右へ右へと入って再び城丹国境尾根に出る。

そこから三国岳方面に進んで久多からの上がってくる三国岳登山道に出会うと、これをひたすら下り(この下りは長くその上急で飽き飽きするほどだ)、演習林管理棟から岩屋谷の林道をのんびり歩けば16時30分出発地へ帰り着く。

夏の山は最後に水浴びをして締めくくるのが私の恒例。今日もここで水浴びをし着替えをすれば、すっかり爽やかな気分で山旅を終えることができた。


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