「芦生の森から」04.06.20


寄生植物(名称不明)

ヤマボウシ

赤崎西谷の源頭

赤崎西谷

刑部谷

ネジキ

2004年6月20日・曇り

終日雨の予想に反し、出発時には青空さえ覗いていた。広河原6時15分着、ここまで来るとさすがに青い空は望めないが雨は降っていない。

車を止め、桂川の最上流であるネジリキ谷の林道に入る。林道入口にワイヤーが張ってあるので、最初から歩かなければならない。緩やかな谷沿いの林道を遡ること約30分で終点。そこから二つに分かれる谷の右側を選んで入る。

両側とも若い自然林で悪い気はしないが、滝らしいもののない退屈な谷である。午前7時20分、長靴のままで簡単に稜線まで登りついた。ここは城丹国境尾根、反対側は芦生である。

尾根上にはヤマボウシが多く、少し盛りは過ぎているが白く大きな花があちこちに見えている。多少ガスがかかっているせいもあるが、濃い緑の中で白い花は本当に良く目立つ。

稜線を少し佐々里峠側へ進むと、コルリの鳴き声が谷のほうから聞こえてきた。姿を求めて赤崎西谷側へ少し下ったが、戻るのが面倒になってそのまま谷へ下ることにした(肝心のコルリは飛んで行ってしまって、姿を見ることができなかった)。
流れに出会い渓流足袋に履き替える。谷の最上部には大きなトチノキも残っていて、原生林的様相をしていたが、少し下ると二次林に変わってしまった。とはいっても伐採後相当年数が経過しているようで、自然林が回復し、芦生らしい景観を取り戻しつつある。この谷の上部には小さな滝も少しあったが、下るほどに平坦となりつまらなくなってきた。8時50分、右から大きな枝谷に出合ったので、今度はこの谷を溯ることにする。

だがこの谷も平凡であり、一つだけ滝らしいものがあるだけで、あとは小滝がわずか。それも一番いいところに伐採用ワイヤーが捨てられていて興ざめする。しかし、コケがとても美しい谷で、その上次第に原生を取り戻しつつあるのは嬉しい。またここでは、尾羽をピンと突っ立ててさえずるミソサザイの姿に、間近で何度も出会うことができた。

最後の急斜面を登ると城丹国境尾根、赤崎西谷と東谷の分水尾根の付け根である。10時ちょうど。ヒグラシに似たハルゼミの鳴き声があちこちから聞こえてくる。

ここで少し早いが1回目の昼食を摂ることにした。昼食後、赤崎西谷と東谷の出合を目指して分水尾根を下ることにしたが、この尾根上には歩道らしいものが付いていて、たくさんの人が歩いたらしい。踏跡をたどると幾本もの杉の巨木に出会うことになり、ここがかつて、バスツアーまで企画されて大挙して人間が訪れたため、京大が立ち入り禁止にしたところであると知る。

10時55分、谷の出合で由良川沿いのトロッコ道に出た。そこから30分ほど上流へ歩くと刑部谷出合、これより刑部谷を溯ることにする。少し入ると、水が岩の割れ目のようなところを流れるようになり、ここは両手両足を突っ張り通過。その後簡単な滝をいくつか越えると、目の前に何段にも折れて落ちる高い滝が現れた。これが刑部滝と呼ばれる滝か?しかしこの滝よりも、手前の5mほどの滝のほうが曲者で、岩の隙間を越えるのに苦労した。

刑部滝の下部は傾斜していて大して難度の高い滝ではないが、高度感があるので緊張する。上部はホールドがなく登れないので高巻く。全部で35mほどあろう、登り終えたところで一休み、ついでに2回目の昼食を摂る。

その後、もう1ヶ所連続する滝場があったが、それを大きく高巻いて越えると悪場は終わり、流れもすっかり細くなってしまった。長靴に履き替え、あまり急ではない傾斜地を上り詰め、稜線を10分ほど歩くと再び城丹国境尾根である、午後1時10分着。

この国境尾根を佐々里峠側へ10分ほど歩き、そこから南へ広河原に向かう長い尾根へと入って行く。この尾根は時々人が通るらしく、標識代わりのテープが随所に付けられており、これを伝えば地図がなくとも歩けるぐらいだ。延々と続く尾根を何度もアップダウンを繰り返しながら進むが、薮がほとんどないので歩きやすい。最後に杉林の中を急降下すると、朝方通ったネジリキ谷林道に飛び出す。午後2時50分着。

長い下りに体がすっかり熱くなってしまったので、谷の流れで水浴びをすることにした。水はまだ少し冷たいが、熱い体には心地よいぐらい。

すっかり爽やかになり、10分ほど林道を歩けば出発地広河原である。


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