「芦生の森から・番外編」04.03.21


三周ヶ岳

三国岳山頂

三国岳より三周ヶ岳

三国岳より上谷山

夜叉ヶ池辺り

三周ヶ岳より美濃俣丸方面と白山

三周ヶ岳より能郷白山

三周ヶ岳より三国岳

三周ヶ岳より上谷山

三周ヶ岳より金糞岳方面

2004年3月21日・晴れ

と、いう訳で今週もやって来た。

夜叉ケ池へ入る岩谷の林道入口がチェーンで閉ざされていたので、ここから歩く以外にない。「これなら折りたたみの自転車を積んでくるのだった」と思いながら、やむなく登山靴をザックに入れてスニーカーを履き、広野ダムサイトを午前5時50分出発。

私の登山靴は古くて重いので両方で3kgもあり、これを背負うとかなり重い。しかし向かう方向にこれから登ろうとする三国岳が聳え、胸が高鳴ってくるのを覚える。林道終点までの半ば過ぎに旅行村があり、その少し手前まで道路は舗装されていて歩き辛かった。今年はふもとの雪解けが早いようで、山肌にはほとんど雪が残っていない。

旅行村を過ぎしばらく行くと新しい舗装道路となった。おそらく終点から舗装工事を行っているのであろうが、このようなところまで舗装をするとは税金の無駄使い以外の何物でもない。

林道終点午前6時50分、登山道を少し登ったところで、登山靴に履き替え雪山に入る準備をする。ついでに軽く朝食を摂り7時10分出発。登山道の無い尾根にすぐ取り付くが、雪が無く傾斜がきついので登山靴だと非常に歩き辛い。

標高差で150mほど登り傾斜が少しゆるくなると、堅い雪にすっかり山肌が覆われていた。キックしても靴がなかなか雪面に食い込まないので、ここでアイゼンを着けることにする。それからはアイゼンの歯がよく食い込み、苦しいながらも歩みははかどった。

越美国境8時45分着、眼前に三周ケ岳が大きく聳えている。さて、これから三国岳と三周ケ岳のどちらから先に行くべきかと思案したが、三周ケ岳への稜線が厳しそうで、途中で断念せざるを得なくなるかも知れないことと、下山路に他の尾根を下ることができそうなことで、まず三国岳から行くことにした。

眺めると三国岳の山頂付近に黒い点が一つあり、これが動いているのだ。動きからすると登山者であるようだがいったいどこからいつ入山したのだろう?

稜線は陽が当たって雪が緩み始め、アイゼンを着けているとかえって邪魔になりそうなのでこれを外して出発する。途中ちょっとしたピークがありこれを越えて下っていくと、先ほど見えていた登山者に出会った。尋ねれば栃の木峠から入り能郷白山まで縦走する予定なのだそうである。まとまった休みの採れない私にとっては全く恨めしい話だ。

最低鞍部から緩やかに登り終えると三国岳山頂、午前9時30分着。目の前に上谷山を見るが、幾度この山から今立っている三国岳を眺めたことか。そして幾度この山に憧れを抱いたことであろう。今その憧れの山に念願叶って立っているのだ。しかしあまり感傷にふける暇は無い、続いて三周ケ岳へ行かねばならないのだから。

わずかの間山頂に留まっただけで元来たルートを引返した。元に戻り、今度は夜叉ケ池目指して一気に下るのであるがこの下りが急だ。その上陽が当たっていないのでまだ硬く凍っていて、靴を叩きつけるように雪面に食い込ませなければスリップしそう。

夜叉ケ池10時15分、池はすっかり凍りつき水面は全く現れていない。ここで先ほどの縦走者を追い越し、痩せた尾根に取り付く。時々岩場が露出して登山道が出ている所もあり、道を歩いた方が安全な場合もある。国境稜線から少し岐阜県側にそれたところに三周ケ岳の山頂はある。

1,292.0mの頂上午前11時40分着、さすがに一等三角点(補点)だけのことはあってすばらしい眺めである。

北を見れば先週登った美濃俣丸や笹ケ峰が眼前に迫り、そこから能郷白山方面まで越美国境の山々が連綿と続いている。そしてその背後に真っ白な白山と、よく見れば北アルプスさえも認めることができる。

目を南に転ずれば今さっき登った三国岳とそこから伊吹山まで続く稜線、そしてその向こうには比良の山々が、そして敦賀湾付近の日本海も陸との境がはっきりと見分けるられるほど鮮明に望むことができた。気温は少し低いが風がないので寒さは感じない。

ここで20分あまり過し昼食も摂った。帰路は元来たコースを採ることも考えたが、夜叉ケ池からの登りや、下ってからの長い林道歩きを思うと気乗りがせず、美濃俣丸方面に少し行ったところから旅行村へ直接下ることにして出発。

幾度かの小さなアップダウンの後、標高1,144mの小さなピークから西へ延びる尾根を下る。最初は所々やせたアップダウンがあって効率が悪かったが、その後広々とした雪の斜面となり快適にどんどん下って行くことができた。

が、やがて雪が消え始めるとひどい薮に突入し、登山靴ではとても歩き辛く再びスニーカーに履き替える。そしてやっと薮を突破したと思うと、最後に急斜面が待っていた。ここは木に掴まりながら下らざるを得ず、それでも時々足を滑らせ木にしがみついて止まるという有様である。

午後1時40分辛うじて旅行村に下りつき、林道に出て一休み。その後は林道を歩いてダムサイトに午後2時20分戻り着く。振り返れば朝と同じく三国岳が美しい姿で聳えていた。


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