ウツギ タニウツギ 長治谷作業所 アキニレ(遠景) アキニレ(近景) 一ノ谷 一ノ谷 コマユミ 傘峠の近く 傘峠の近く ツルウメモドキ |
2003年12月7日・曇り時々雨/雪 「今日は寒くなり、山沿いでは雪が混じる」との天気予報で、広河原方面から入る予定を変更して生杉へ向かった。ブナ原生林入口で車を止め、積んできた自転車に乗り午前7時05分出発。小雨が降っているので最初からカッパの上下を着ける。地蔵峠近くでは降りて押すことが多くなったが、歩くよりは幾分早く峠に着く。ここに自転車を止め、原生林へ。 長治谷作業所辺りの林道沿いにはウツギ、タニウツギ、ノリウツギなどの枯れた果実が落ちずに残っており、よく見るとそれぞれ味わいある形をしている。作業所前に新緑かと見紛うような木立があり、「あれはなんだ!」と近寄ると、アキニレの果実がいっぱいに稔っているのであった。おそらく植栽されたものであろうが、冬枯れの中では大いに目立っている。 中山8時00分着、下谷に下り一ノ谷に入る。この谷には小さな滝が数個あっただけで悪場もなく、長靴でも簡単に登ることができた。谷のほとんどが二次林の雑木林であったが、稜線近くになると大きなカツラとトチノキが生い立ち原生林らしくなる。 緑の葉が少ないこの季節には、岩や倒木を覆うコケの緑は、褐色の中で鮮やかに映えるものであり、谷の出合に立っていたカツラの古木は、かなり上の方までコケに覆われていた。「こんなにコケに覆われた木は、芦生でも珍しいなあ」と思うほど。またこの谷では芦生で2度目のカモシカにも出会い、収穫の多い所であった。 稜線9時00分着、傘峠への登山道が通じている。ここでこの冬初めて雪にも出会った。氷雨というのであろうか、小さなアラレ状のものが降り、パラパラと積もった落ち葉を打つ。「天気予報どおりだ。」雪に出会うことを半ば期待していただけに嬉しい。 中山方面に少し歩き、登山道と別れて東へ延びる尾根から由良川本流方面へ下っていく。途中に鍋底のようになった地形のところがあり、落ち葉に覆われた林床は、下草も全く無く広々としていて実に芦生らしい。「この季節の芦生は格別すばらしいなあ!」としみじみ思う。 ここで1回目の昼食を軽く摂り、谷に下りて少し下れば由良川本流、10時05分着。岩谷出合のすぐ下流だ。対岸の登山道に上るため流れを渡るのであるが、長靴を脱がずに渡るにはバランスと跳躍力が必要になる。 無事に渡り終え、由良川沿いの登山道を下ること45分余り、ツボ谷の一つ下流側にある無名の谷の出合に着く。ここでも流れを渡ることになるが、先程より川幅も広く水量も増えているので更に大変だった。 これも無事渡り終え、谷に入って溯る。地形図で見る限り「大した滝はなさそうだ」と予想していたが、突然目の前に岩壁が立ちはだかった時には、「滝場があるのか!」と覚悟したものだ。逃げ道や巻き方などを考えながら小さな滝を越えて近づくと、やはり10mあまりの手強そうな2段の滝に出会った。だが覚悟したほどのことはなく(木の根に掴まり攀じ登らざるを得なかったけれども)、無事登り終えるとここで滝場は終了する。 その上には滝らしいものは無かったが、最上流付近の急斜面に、岩盤を舐めるように落ちる細い流れを認めたので、「これは登れそうもないなあ」と最初から遡行を放棄し、涸れた小谷を這い上がって稜線へ出る。なだらかな稜線を15分ほど北上すると、七瀬中尾根分岐、12時15分着。 2度目の昼食を摂りながら、これから先の予定を考えようとしたが、雪がちらつき風もあり、寒くてゆっくり思案している余裕はない。早々に食事を済ませ、とりあえずケヤキ坂方面に向うことにした。 少し歩いて下谷の三ノ谷源頭を通過すると、緩やかに谷が開かれており、心が揺らいでこの谷を下ることに決める(このいい加減さが一人旅の一番いいところだ)。地形図では途中に大きな滝場がありそうなので、最悪戻ることも計算にしていた。 上流は割と緩やかな谷であったが、突然空が大きく開いて連続する滝の頭に飛び出す。しかし谷が深く切れ込んでいないので、左岸を簡単に巻いて下ることが出来た。振り仰げば5m前後の滝が8個ほどあり、シャワークライムすればいずれの滝も登れそうである。 下流はすっかり緩やかになり、二次林の中を下って下谷本流へ。林道に上がってケヤキ坂方面に10分ほど歩き、池ノ谷作業道へ入る、13時15分。スギの植林を登り、峠から中山への尾根を行く。尾根上には見出杭が打たれ、踏み跡程度の道がついている。 木立越しには南に傘峠方面が、北に百里ケ岳から三国峠そしてシンコボ方面がそれぞれ垣間見られるが、大きく展望の開けるところはない。最後にかなり急な斜面を下るとちょうど中山、下谷上谷合流点、14時15分着。長治谷作業所前から地蔵峠に戻り、自転車で一気に出発地まで。14時45分、いつもよりだいぶ早い時刻である 「もう少し山に居てもよかったかなあ。」 |