「芦生の森から」03.06.08.


ヤマツツジ

サワフタギ

アカモノ

ナラリンゴタマバチの虫エイ

ヤマツツジのサツキもち病菌

ヒカゲノカズラの胞子嚢穂

タニウツギ

三国岳山頂のニガナ

マムシ

ブナの実

スケン谷の滝

ショウキラン

サルメンエビネ

2003年6月8日晴れ

何度も通っていると、新たなコースの選択に困ってしまう。出発直前まで今日の予定が決まらなかったが、とにかく折りたたみ自転車を積んで出発することにした。

針畑川の古屋に自転車を置き、少し戻った桑原に車を止める。午前7時15分出発。針畑川の右岸林道に入ると、早速ホトトギスの鳴き声が聞こえ、ウツギの花は満開。「夏は来ぬ」の歌詞どおり「ウツギ」が匂って「ホトトギス」が鳴き、「梅に鶯」以上にピッタリの取り合わせだ。

三国岳登山口を過ぎて林道を終点までたどったが、道中色々な花が見られその度に写真を撮っていて時間がかかってしまった。ウツギのほかヤマツツジ、サワフタギ、アカモノ、ニガナなど。それからナラリンゴタマバチの虫エイ(虫こぶ・カスカスになったりんごのようなものである)やヤマツツジのサツキもち病菌、ヒカゲノカズラの胞子嚢穂など多彩に現われるので、林道終点は8時ちょうどとなってしまった。

ここで渓流足袋に履き替え流れに足を浸すが、先月に比べやはり温い。この谷(下ツボ谷)は、初めは傾斜もゆるく人工林が多くてつまらないが、やがて自然林に入ると小滝が連続し少しは面白くなってくる(2〜3の滝は巻き上がることになった)。傾斜がゆるくなって流れが涸れ植林帯が現われてきたので、その境を這いあがると、古屋からの登山道に出た。これを数分登ると三国岳山頂である。午前9時30分。

今日はよく晴れて比良の山並みもきれいに見ることができた。しかしここで再び思案、この先の予定がなかったからである。地図を眺め、結局三ボケからロロノ谷を経て由良川に下りることにし(一応そこまでの予定にして)、久多側に登山道を少し下ったところから演習林の中へ入っていった。

谷に降りて更に下ると平坦な広い流れに出会う。ここはロロノ谷出合の少し上流、いつ来ても気持ちのいいところだ。ロロノ谷出合を少し下ったところに美しいナメ床があり、気に入っているので、今日もそこまで足を延ばす。戻って今度はロロノ谷を詰め、尾根に上ったところで1回目の昼食にする。午前11時ちょうど、昼食には少し早いがまあいいか。

例によって自然館の「ベジタブルカレー」である。風にそよぐ木立のざわめき、野鳥のさえずり、せみの声、吹き抜ける風のさわやかさ・・・大木の下で憩うこのひと時は、まさに珠玉の時だ。

食事を終え、登ってきた方と反対側の尾根を下ることにする。この尾根は過去幾度か通っているが、今日は途中から分岐する枝尾根を下る。分岐点こそ見分けにくいが、その後は一本の尾根で迷うことはない。それにしてもシャクナゲの多いところで、さぞや花の季節には豪華に咲き競っているに違いない。

尾根の半ばを過ぎたころであろう、今まで樹林に閉ざされていた視界が突然開け傘峠方面が望まれたので、立ち止まって眺めていると、足元に蠢く物が・・・・・・。落ち葉と同化してはいるが、あの特徴ある文様はまさしく『マムシ』である。こんな急な尾根にいるとは思いもよらず平気で歩いてきたが、ここに足を止めさすほどの眺めがなければ、危なく踏んでしまうところであった。

本人は保護色ゆえかゆっくりしたもので、なかなか逃げようとしない。そこで写真を撮ることにした。近づいても威嚇しないのでこちらもゆっくり撮ることができる。

その後もどんどん下って行くが、足元が気になって辺りを眺める余裕もなくなってしまった。

由良川の瀬音が聞こえ流れが見えてくると、やがて由良川沿いの登山道に飛び出す。少し上流側へ歩いて河原に下る、12時ちょうど。この辺りは流れがすっかり穏やかになっており、谷通しでも滝も淵もなく簡単に岩谷出合辺りまで来ることができた。

「まだ時間は早い」、そこで岩谷のほぼ対岸にある谷を登ることにする。だが、何の変化もないままあっけなく流れが途絶えてしまったので、尾根に這い上がりその尾根を再び由良川へ、スケン谷出合辺りを目指して下ることにした。

由良川に下りつくと数人のハイカーが河原で食事をしており、今日始めて人に出会う。スケン谷の入り口はとても広い。そこにトチノキの大木が幾本も生い立ち、秋には大量のトチの実を落とす。地元の人がこれを採りに来ているのに出会ったことがある。

この広く平坦な入り口から奥へ入ると、急に谷が閉じ、そこに10mほどの滝が懸かっている。これを高巻くと再び緩やかな流れとなり、そこで2度目の昼食。

谷を詰め登ると、江丹国境尾根。これを岩谷峠へ15分ほど進んだところで地下足袋に履き替え、古屋の保谷へ向かう尾根を下ることにした。約30分、最後まで雑木林とさえ言えるような尾根で、所々倒木やユズリハ・シャクナゲが邪魔をするのはやむを得ないとして、分厚く積まれた落ち葉を地下足袋で踏む感触は、えもいわれぬ心地よさである。

倉ケ谷出合付近に下り着き、保谷林道を古屋まで30分ほど歩くことになる。途中今年初めての水浴びをするが、さすがにまだ冷たく浴びる程度で済ます。
林道の終点近く、木を切っていた老人と出会い、しばし話し込んだ。自転車のところに着いたのは、午後4時15分。

なんだかダラダラ歩いたような1日ではあったが、それでも途中で見つけたショウキランとサルメンエビネの花は生まれてはじめて見るものであり、今日の大きな収穫であった。


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